メニュー力といえば、最近では、思わずシャッターを切りたくなる見た目のインパクトや提供時のパフォーマンスなどが話題になっているが、基本はやはり「早い、うまい、安い」であることに異論はないはず。“うまい”“安い”はよくあるが、“早い”を改善することで、メニュー力をアップさせたのが、「肉バル食堂 そら豆」の「トンテキ定食」だ。

注文してからわずか3分で提供

「肉バル食堂 そら豆」がある五反田界隈は、昼時になるとランチを求めるサラリーマンがあふれる。それを狙って、夜の営業だけではなくランチを提供している飲食店が多いが、その中でも五反田の“最強ランチ”と、他店も認めているのが「肉バル食堂 そら豆」のランチだ。

サラリーマンの昼休みは、午後12時から1時までにほぼ集中する。この1時間でどれだけ注文をさばけるかが、ランチの勝負どころ。「肉バル食堂 そら豆」では「豚のしょうが焼き」「とんかつ」「チキンカツ」「チキン南蛮」などが人気のランチメニューとして並び、「トンテキ定食」はいまひとつ伸び悩んでいた。

その理由の一つが、提供までに時間がかかること。「他の注文が殺到する中、注文を受けてから1枚ずつ、生の状態から焼き上げていると、どうしても時間がかかります」と語るのは総料理長の佐仲勇氏。そこで、提供時間短縮を目指す仕込みが考案されたというわけだ。

まず豚ロース肉4kgをオーブンで焼き、8割方火を通す。1人分=200gに切り分け、さらにお客さんが切り分けやすいように、グローブ状に切れ目を入れる。ここまで仕込んでおくことで、提供時間が劇的に短縮。注文を受けてから、なんと3分で提供できるという、カップラーメン並みの早さだ。

オペレーションは、火にかけた鉄板にフライヤーで熱々に熱した石を置き、その上にモヤシ約300gを盛りサラダ油、塩をふって、モヤシを加熱する。その間に、肉を20~30秒、サッと素揚げして、仕上げの熱を入れると同時に肉の表面をカリッとさせる。それを山盛りのモヤシの上にのせ、ブラックペッパー、数種類の野菜のすりおろしと調味料を合わせたオリジナルソース、フライドニンニクチップをかけて完成。

立ち上る湯気とジュージュー音が半端なく、熱々感がお客さんを魅了する。注文してからわずか3分で提供されれば、できたて感はさらに倍増。「肉バル食堂 そら豆」の「トンテキ定食」は、提供時間を短縮することが、メニューの付加価値を上げる好例といえるだろう。

●店舗情報
「肉バル食堂 そら豆」 店舗所在地=東京都品川区西五反田2-26-3 桔梗ハイツ1階/開業=2014年8月/営業時間=午前11時30分~午後3時、5時~11時30分 無休/坪数・席数=18坪・40席/1日平均客数=昼90~100人、夜40人/平均客単価=昼800円 夜3500円

◇日食外食レストラン新聞の2017年6月5日号の記事を転載しました。