埼玉県草加市の「草加パリ食堂 エルブ」は2015年4月創業のフレンチ食堂。細田悟店主は、「フレンチへの関心を高めてほしい」として、埼玉県産ヨーロッパ野菜を採用した。取り扱うヨーロッパ野菜は旬に合わせて常時10~20種類。50~60品のアラカルト料理のほとんどに活用し、とりわけ10~15種類をミックスした「さいたまヨーロッパ野菜のエルブサラダ」は地産地消の看板料理として話題を集めている。通常の野菜に比べ仕入れ費用は安くはないが、「お客さまの満足を踏まえれば決して高くない」(細田店主)と太鼓判を押す。

旬に合わせ常時10~20種類を活用

細田店主は都内フレンチレストランに15年間勤務した後、地元・埼玉で独立出店した。だが、ピザやパスタなど売り物が明確なイタリアンに比べて、フレンチの存在感が弱いことを実感。フレンチのアピールを模索する中、知り合いのシェフからヨーロッパ野菜を紹介され、思い切って野菜のほとんどを切り替えた。

「前々から『フレンチって何料理があるの?』というお客さまの雰囲気を感じてました。しかし、イタリアンのように代表的な料理名で答えられません。フレンチは技法はもとより地方料理の集積でもあります。ならば地産地消の野菜で勝負しようと考えました」(細田店主)。

その試みは見事に当たった。フレンチの看板よりも「地元の珍しい野菜が食べられる!」という評判が先行して女性客が増加。野菜を話題に友達を連れてくる集客連鎖が好調だという。

細田店主は「一昔前、野菜の付加価値アップは売値に反映できないと叫ばれてましたが、その移り変わりを実感しています。今後さらに野菜の品質、種類、ストーリー性が求められるでしょう」と前向きだ。

カーリーケール
  • 店舗情報
    「草加パリ食堂 エルブ」
    所在地=埼玉県草加市住吉1-4-10 パティオ菊水202

◇日食外食レストラン新聞の2017年6月5日号の記事を転載しました。