イオンは6月の環境月間に合わせ、持続可能な方法で養殖された水産物に与えられるASC(水産養殖管理協議会)認証を取得したベトナム産パンガシウスのかば焼き「トップバリュ 白身魚のふっくら蒲焼」(半身1パック税込み645円)を発売した。5月30日から全国のグループ1700店舗で販売され、水産資源や環境保護などを啓発。今年は7月と8月に2回ある土用丑(うし)の新たな選択肢としても訴求する。

松本金蔵イオンリテール水産商品部長は29日に東京・イオンスタイル板橋前野町で開催された記者会見で、「来店するお客さまにサステナブル・シーフードを啓もうし、味・おいしさを実感してもらいたい」と語った。

今年は「二の丑」も間近に控えており、「選べる土用丑」(松本部長)として、ウナギと併売で新たなかば焼き需要の創出効果も期待される。第2四半期での販売に注力、夏場までに半身換算で50万パックの売上げを目標に掲げる。今後は同商品を使った丼メニューの展開も視野に入れる。

同商品は、イオンが14年から直輸入するベトナム産パンガシウスを使用。メコン川下流で稚魚から一貫生産され、ふっくらした食感と淡泊な味わいから汎用(はんよう)性の高さが評価されてきた。今回は構想に1年半以上をかけ、独自のタレに漬け込み、加熱蒸気でふっくらと蒸し上げ、オリーブオイルで皮面を香ばしいかば焼きに仕上げた。

山内愛子WWFジャパン海洋水産グループ長によると、ASC製品は、5月現在世界58ヵ国8000アイテム超が販売されているが、日本では231製品にとどまっている。養殖業は30年には天然漁業と同等の生産量が見込まれる成長産業で、「餌、養殖方法、労務環境など、より持続可能性が求められる」(山内グループ長)とされることから、消費者教育の重要性がますます増していく。

イオンは14年に「イオン持続可能な調達のための原則」を制定し、水産物調達方針として、持続可能な漁法で漁獲された水産物を示すMSC(海洋管理協議会)認証やASC認証を取得した商品の積極的な販売を実施。MSC認証で18魚種38品目、ASC認証で5魚種12品目を取り扱う。また、それらの認証商品に特化した売場「フィッシュバトン」を54店舗に設置し、季節や地域に合わせて展開している。

◇日本食糧新聞の2017年6月5日号の記事を転載しました。