うまみをぎゅっと!あんかけ料理のレシピ2選
こんにちは。だいぶ暖かくなったので、旅行のムシがうずいている福岡の管理栄養士、大山加奈恵です。春から夏にかけてはおいしい旬の野菜も出回ってくるし、この時期ならではの郷土料理もあるので、いつも以上に食欲が増えてしまいますね。
ところで、みなさんは“あんかけ料理”はお好きですか? 今回はあんかけ料理のコツ、秘密についてご紹介します。うまみをぎゅっと閉じ込めたあんかけ料理の魅力をお伝えしたいと思います。
料理は科学だ!失敗なしの「とろみのつけ方」
九州の長崎の名物といえばちゃんぽんですが、実は皿うどんも有名ということをご存知ですか?
パリパリ麺にたっぷりの野菜と魚介類の入ったあんをかけて、あんと麺を絡めながら食べるのが、とってもおいしいのです。麺と絡めるにはあんのとろみが重要なポイント。とろみをつける材料は、主に片栗粉ですが、葛湯やコーンスターチでとろみをつけることもあります。
あんかけに必要なものは、とろ〜っとしたとろみ。あんの原料は一般的には、片栗粉です。片栗粉に含まれるでんぷんが加熱されると、粘りができて、とろみがつくのです。
片栗粉を煮汁に入れるだけ!ですが、ダマができたり、固くなりすぎたり失敗する人も多いのではないでしょうか。そこで上手にとろみをつけるポイントをまとめました。
<水溶き片栗粉を作る>
うまくとろみがつけられない人は、「片栗粉:水=1:2」、倍量の水で溶きましょう。レシピには、水溶き片栗粉は「片栗粉:水=1:1」、同量の水で溶く、となっていることが多いですが、手早く入れなかったり、火の加減を間違えると、ダマになってしまいます。
片栗粉に対して水の量が多いほど、とろみがつくまで時間がかかり、ゆるいとろみがつきます。あとは煮詰めていくと、少しずつとろみが強くなるので、好みの固さに調整できます。
<水溶き片栗粉は早めに作って、使う直前に必ずもう一度混ぜる>
フライパンや鍋で具材を加熱して、いざ水溶き片栗粉を入れようと思ったら、準備していない。そんなことも多いですよね。それから片栗粉を計量して…とやっているうちに、具材から水分が出てベチャっとしてしまいます。
水溶き片栗粉は、早めに準備しておくのがポイント。片栗粉がきちんと水に溶けていないと、ダマの原因にもなります。ただし、片栗粉はすぐに沈殿してしまうので、必ず使う直前にしっかり混ぜてから、使いましょう。
<水溶き片栗粉を入れる時の火加減は弱火〜中火>
心配な人はいったん火を止めてから、投入。火が強すぎると一気に片栗粉が加熱されて、固まり方が早くダマになりやすいです。火は弱火から中火にして、必ずヘラや玉じゃくしなどで絶えずかき混ぜながら加熱して、とろみをつけましょう。
<ツヤと透明感が出るまで加熱がポイント。常にかき混ぜて!>
少しとろっとし始めたら、「とろみがついた!」と思って、加熱を止めていませんか? でんぷんにしっかりと火が通るには、2~3分は時間がかかります。片栗粉の白っぽさがなくなり、あんが透明になってツヤがでるまでしっかり加熱してください。焦げないように全体を絶えずかき混ぜながらも忘れずに!
失敗しないとろみのつけ方に重要なことは、片栗粉(でんぷん)の特徴を知ることです。水多め・弱火・ツヤと透明感・絶えずかき混ぜる…。料理は材料の科学的な特徴を知ると、おいしく作れます。実験気分で料理することも、お料理上手になる秘訣ですね。
豆腐としめじの和風あんのレシピ
厚揚げは大豆食品の中でも食べ応えがあるので、メインにもなる一品です。山芋のネバネバ成分、ねぎの辛味成分、しめじの食物繊維は、どれも体の老廃物を外に出してくれるデトックス成分なので、この季節に食べることをオススメします。
【材料】(2人分)
厚揚げ 1パック
ネギ 1/4本
しめじ 1/3パック
山芋 5cm
●水 150ml
●和風だしの素 小さじ1
●濃口醤油 小さじ1
●みりん 小さじ1
●酒 小さじ1
●塩 ひとつまみ
◎片栗粉 大さじ1
◎水 大さじ3
【作り方】
- 厚揚げは食べやすい大きさに切る。ネギは小口切りにする。しめじは軸を取り、小房に分ける。山芋は皮をむき、粗みじんに切る。 ◎を器に入れて、水溶き片栗粉を作っておく。
- ●の調味料を入れて、しめじ、厚揚げを入れて、中火で煮る。 火が通ったら、弱火にして水溶き片栗粉を加える。ヘラでかき混ぜながら汁にとろみがつき、透明になったら山芋を加えて、火を止める。
- 器に盛り付けて、ネギを上にのせる。
かぶのとろっとスープのレシピ
おもてなしの一品にもなる、丸ごとのカブを使ったレシピです。多めに作って、常備惣菜として冷蔵庫にストックしておくのもおすすめです。ご飯やパスタを入れると栄養バランスもとれた一品になりますよ。ベーコンのうまみと塩味だけでも満足できる味になるのも、とろっとしたスープの効果です。
【材料】(2人分)
カブ 小1個
ベーコン 1枚
まいたけ 1/4パック
大葉 2枚
ベーコン 2枚
合わせだし(無塩)300ml
◎片栗粉 大さじ1/2
◎水 大さじ1・1/2
【作り方】
- ベーコン、まいたけはみじん切りにし、大葉は千切りにする。◎で水溶き片栗粉を作っておく。
- 鍋にベーコン、まいたけ、カブ、合わせだしを入れて煮込む。
- カブが柔らかくなったら、 火を弱め水溶き片栗粉を加えて、ヘラでかき混ぜながらとろみがつくまで煮る。
- 器に(3)をよそい、大葉を上にのせたら出来上がり。
食べているうちに、あんがサラサラに?の不思議
あんかけ料理を食べている時に、始めはしっかりとろみがついているのに、最後のほうにはあんがサラサラになった経験はありませんか?
私がその不思議な現象に気づいたのは、とろみの強いカレーうどんをお店で食べていた時。アツアツのとろっとしたカレーうどんを食べているうちに、最後にはサラサラのカレースープになってしまったのです。その時は「なんでだろう?」と、とても不思議に思ったのですが、食品学の勉強をしてその理由がわかりました。
サラサラにした理由は、唾液のアミラーゼ!
アミラーゼはでんぷんを分解して、消化しやすい形に変える働きがあります。でんぷんの鎖を一つずつバラバラにするようなイメージです。
なぜ、あんがサラサラになるか? それはあんかけ料理を食べている間に、お箸などについた唾液(アミラーゼ)があんの中のでんぷんを分解してしまうというわけなのです。最後までとろ〜っとしたあんを楽しみたい人は、小皿に少しずつ料理を取り分けて食べるといいですよ。
料理って、科学だなと感じる、あんかけ料理の不思議な現象ですね。
コメント
記事コメント投稿サービス利用規約に同意の上ご利用ください。