鳥取県鳥取市出身のズボラ主婦ライター・大熊ね子です。鳥取県の中でも、東・中・西部に住んだことがあり、県内のさまざまな食文化に触れてきました。その魅力を皆さんにお伝えしたいと思っています。
今回ご紹介するのは、鳥取県西部の郷土料理「いただき」。以前TV番組「秘密のケンミンSHOW」でも取り上げられたことのある「いただき」は、油揚げに甘辛い炊き込みご飯が詰まっている、ボリューム満点の料理です。一度食べるとまた食べたくなる「いただき」の美味しい食べ方とレシピをご紹介します。

「いただき」は、大きいいなり寿司のような見た目

「いただき」は、見た目は大きないなり寿司のような食べ物です。スーパーの惣菜コーナーやお祭りの屋台などで売られており、大きさはなんと横幅20cmほどもあります。

私が鳥取県西部に住んで初めて出会ったとき、その大きさに驚きました。食べきれるのかな?と疑問に思うほどでしたが、これがとても美味しくてぺろりと食べられてしまうんです。

いなり寿司と違うのはその中身。油揚げの中には炊き込みご飯のような味付きご飯が詰まっています。酢飯ではありません。

また作り方も異なり、炊きあがったご飯を油揚げに詰めるのではなく、具を混ぜ込んだ生米を詰めてから、だし汁で炊き上げます。

昔ながらの家庭料理なので、各家庭により具材や味付けには差があり、まさに「おふくろの味」といえる一品でしょう。

「いただき」の語源は諸説あるようです。まだお米が貴重な時代に、「もらう」のではなく「頂く」という感謝の気持ちが語源と言われています。また、鳥取県の秀峰「大山(だいせん)」の頂上に形が似ているから、という説もあるそうですよ。

参考サイト:
いただき/食のみやこ鳥取県/とりネット/鳥取県公式サイト

「いただき」の美味しい食べ方

大皿に乗せて好きなだけ取って食べる

「いただき」の食べ方で一番ベーシックなのは、そのまま大きな口でパクっと食べること。親戚の集まりなどで、大皿に乗せて食卓に並べて好きなだけ取って食べるのが昔ながらのスタイルです。

出来立てアツアツの「いただき」を、お好みのおかずと合わせて食べれば子どもから大人までたくさん食べてしまうこと間違いなし!甘辛く味付けて、ビールと合わせて食べるのもおすすめです。

お弁当に入れる

「いただき」は、かつて漁師や農家の人々がお弁当としても食べられていたそうです。おいなりさんくらいの小さめサイズを作っておいて、学校や職場に持っていくお弁当に詰めるのもおすすめ。

また、日本海を眺めながら、大山に登りながらなど、レジャーのお供に大きいサイズの「いただき」をそのままガブリと食べるのも◎。冷めても美味しいのがポイントです。

冷凍保存可!みそ汁と一緒に休日のお昼ご飯にも

「いただき」は、家庭の味のメニューです。なので、お味噌汁にもよく合います。さっと作れる味噌汁にボリューム満点の「いただき」を合わせれば、手抜きしたい日の休日ランチにぴったり。

我が家では、たくさん作った「いただき」はしっかりラップして冷凍保存しています。休日、ご飯を作るのが面倒なときもレンジでチンするだけで美味しいお昼ご飯が出来上がります。

炊飯器で「いただき」を作ろう!

いただきは鍋でも炊飯器でも作れますが、今回は簡単にできる炊飯器でのレシピをご紹介します。味は家庭によって異なるので、以下のレシピは目安にしてお好みで調節してくださいね。

【材料】
・米 1.5合
・油揚げ 大判のもの4枚
・ゴボウ 1/4(約40g)
・人参 小1/2(約20g)
・干し椎茸 4g
・だし汁 3カップ
・砂糖 大さじ4
・酒 大さじ4
・醤油 大さじ4
・つまようじ 8本

【作り方】
1.お米を洗って1時間ほど水につけ、ザルにあげておきます。干し椎茸は水に戻しておきます。

2.ゴボウはささがきに、人参と戻した干し椎茸は千切りにします。

3.油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、半分に切ったら破れないように開いて袋状にします。※三角形の油揚げがあればオリジナルのいただきになりますが、今回は簡単に手に入る長方形のものを使いました。

4.米と切った具材を混ぜ合わせて、油揚げの中に詰めます。炊いたら膨らむので、袋の7分目から8分目程度の量にします。詰めたら具を平らにならして、袋の口をつまようじで留めます。

5.口の部分を下にして炊飯器に並べ、だし汁、砂糖、酒、醤油を入れて炊飯します。炊飯器に「炊き込みご飯コース」があればそれを使うとより良いです。ない方は通常コースで。

炊きあがったら、10~20分しっかりと蒸らせば出来上がり!

写真は大判の油揚げ3枚分と、お弁当用の小さな油揚げ2枚分です

シンプルながらも、何度も食べたくなるどこか懐かしい味の「いただき」。いなり寿司とも炊き込みご飯とも違う料理は、食卓に並べればきっとご家族との会話も弾むことでしょう。