台湾在住たべぷろ編集部員HOZです。台湾ならびに中華圏には、中秋節という年中行事があります。毎年旧暦の8月15日(グレゴリオ暦の9月〜10月頃)に行われるイベントで、日本では「中秋の名月」の日としても有名です。
この中秋節の日に食べるものの1つに月餅があります。家族で食べるほか日頃お世話になっている人に贈るなど、この時期売れに売れる商品です。各製菓会社やコンビニ、果ては有名コーヒーチェーンストアに至るまで、それぞれに開発したオリジナリティあふれる月餅を販売します。今回はそんな台湾の個性豊かな月餅をいくつかご紹介いたしましょう。

まあるい卵の黄身入り月餅

中秋節は月の圓(まる)型にあやかって一家団欒する日。月餅と聞くと名前からして夜空に浮かぶまぁるい月を想像しますが、実は名前のみならず、中の餡にも満月にちなんだ工夫が凝らされています。それがこの、餡の中に卵の黄身を閉じ込めた月餅です。

餡の中に入っているのは、「鹹蛋黃」と呼ばれる卵の黄身。「鹹」は「塩辛い」という意味で、文字通り塩辛い卵の黄身が入っています。使われているのは鶏やアヒルの卵で、卵の卵黄の部分だけを取り出して塩漬け加工したものを、月餅の餡の中に入れるのだそうです。

一口かじると餡の中にもお月さまが隠れているとは、なかなかオツな仕掛けですよね。

ちなみに、中秋節に台湾人が食べるのは、私達も見たことがあるようないわゆる月餅だけではありません。蛋黃酥と呼ばれるまるっこいタイプのものなども中秋節の贈り物として大変人気があります。

餡のバリエーションも豊富!

月餅というと中を割ったら小豆餡が入っているものを想像しがちですが、中秋節に食べる月餅や蛋黃酥は味のバリエーションもなかなか豊富です。緑豆や芋頭(タロイモ餡)などもありますし、台湾らしく餡の種類でしたら、パイナップル味、マンゴー味なんていうのもあります。

餡の色味がいかにも南国のフルーツの色合いをしていて、目にも楽しいです。味もちょっと甘酸っぱくて美味しい!

それぞれ中に卵ペーストも入っています。
マンゴー餡、パイナップル餡の月餅。お店のラインナップとしては、この他に蓮蓉、栗餡やチョコレート餡などもありました。

変わり種としては、香菇(しいたけ)を使用したものも(右側です)。

こちらはもちろん甘くはありません。またギフトボックスのセットにカレー味の月餅が入っているものも見かけたことがあります。甘い月餅ばかり食べていたら、確かにしょっぱいものも食べたくなりますよね。

何味の月餅を作っているかは会社によって異なりますので、いろいろな会社の製品を比較してみるといろいろ発見があって面白いです。

スタバやミスドも月餅商戦に!

中秋節のお祝いには欠かせない食べ物である月餅。そんな月餅を巡って商戦を繰り広げるのは、製菓の専門店だけではありません。日本では思いもつかないようなあの企業も、月餅商戦に参加しています。

まずはアメリカに端を発し、世界各国で店舗を展開させている超有名カフェのチェーン店、スターバックスが販売する月餅から。同会社のロゴであるセイレーンの模様が刻まれた、いかにもスターバックスらしい月餅ですね。一緒に並んでいる長方形の月餅には「星巴克」と刻まれています。「星巴克」はスターバックスの中国語です。

また日本から台湾に出店しているミスタードーナツでも月餅を販売しています。こちらの月餅は、ミスタードーナツを代表するマスコットキャラクター、ポン・デ・ライオンがモチーフとなっています。可愛くて食べるのがもったいない!

月餅の予約は中秋節の時期にもよりますが、8月から予約を開始している所がほとんどです。少し早めに予約すると、割引特典があることも。台湾に在住しているかたや長期滞在予定のある方は、少し早めに狙いの店舗を訪れて予約をすると、いいことがあるかもしれませんよ!