ありえない?冷やし味噌かつ丼!予想を超えたおいしさの秘密はクラッシュアイス
この時季は「冷やし〇〇」というメニューが目を引く。冷やし中華や冷製パスタといった定番から、最近では冷やし天丼や冷やしおでんなども登場。数ある冷やしメニューの中でも、「これが冷たいなんて想像がつかない。あり得ない」と通常の発想力を超えているのが、「菩提樹」の「冷やし味噌かつ丼」だ。
夏場でも、さっぱりと食べられる豚カツ
「菩提樹」はA5ランク和牛のハンバーグやステーキと並んで、豚カツが評判の店。揚げ物が敬遠されがちな夏場は、揚げ物を看板にしているお店にとっては売上げ減につながる。それを挽回するために「夏場でも“さっぱりと食べられる豚カツ”をということで考案したのが『冷やし味噌かつ丼』です」と語るのは吉田大介社長。
とはいうものの、カツは揚げたてを食べるもの。“冷たい豚カツ”というものが想像できない。
「そうなんです。なので、このメニューで一番苦労したのは作り方ではなく売り方です。“冷たい豚カツ”がイメージできないので、お客さまも注文するのを躊躇(ちゅうちょ)されて……」という状況だったが、メニューブックにPOPを付けたり、店内にポスターを貼ったりと地道に宣伝した成果で、次第にオーダーが入るようになった。
炊きたてのご飯を氷水で洗って締める
オペレーションは、まず炊きたてのご飯を氷水で洗って締める。ご飯を冷ますのと同時に、だし汁をかけてもご飯がふやけないようにするためだ。
水を切ったご飯を丼に盛り、冷蔵庫で冷やしておく。オーダーが入ると、これに八丁味噌ベースの冷やしただし汁をかける。これだけでも十分に“冷やし”だが、ここで、なんとクラッシュアイスを散らすという大胆な行動に出る。
「揚げたての豚カツをのせると、その熱でだしがぬるくなってしまいます。中途半端にぬるいのはおいしくない。冷やすなら、しっかり冷やさないと」と言うのは品川勝巳店長。
氷はブロックアイスでは口の中で邪魔になり、かき氷ではすぐに溶けて保冷効果がイマイチ。だし汁自体を凍らせたこともあるが、水と調味料が分離して見た目が良くない。試行錯誤の末にクラッシュアイスがベストという結論になった。
クラッシュアイスの上に豚カツをのせ、とろろをかける。豚カツは食べ始めはサクサク、次第にだし汁が染みてしっとりと。ご飯部分のとろろ汁は最後まで冷たく、“涼”を運ぶ。看板メニューの豚カツが、夏季限定の“冷やし”となって、夏場の売上げに貢献しているというわけだ。
「菩提樹」
所在地=東京都文京区本郷1-14-3 東野ビル地下1階
開業=1982年
席数=104席
営業時間=月曜~金曜11時30分~15時30分、17時~22時30分、土曜11時30分~22時30分、日曜・祝日11時30分~22時。
平均客単価=昼1200~1400円、夜2000~3000円
定休日=無休
1日平均集客数=昼約50人、夜約80人
◇外食レストラン新聞の2018年8月6日号の記事を転載しました。
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