吉祥寺の老舗レモンドロップの「チーズケーキ」が人気を保ち続ける理由は
「レモンドロップ」は、東京・吉祥寺にある老舗のケーキ店だ。開業は1980年というから、もうまもなく40周年を迎えることになる。吉祥寺に2店舗あるだけのブランドだが、この街で「レモンドロップ」を知らない人はいないだろう。それは、この店が長い歴史を持つからというだけではなく、この店をつくり上げたのが、吉祥寺では誰もが知る有名人だからだ。
さっくりとした食感でしつこくない
同店の創業者である野口伊織氏は、ジャズ喫茶(当時)の「ファンキー」や、一時は渋谷にも出店していた「サムタイム」など、吉祥寺を中心として数多くの有名飲食店を経営していた伝説的な人物である。
単なる飲食店の経営者ではなく、ジャズ評論家であり、ミュージシャンでもあるという多才なパーソナリティーだったが、今世紀に入ってすぐ惜しくも亡くなられた。現在は、奥様が経営を引き継がれているようだ。
「レモンドロップ」のケーキは、どれもみな比較的大ぶりな、いわゆるアメリカンスタイル。1980年ごろというのは、ちょうどイタリアントマトなどのようなアメリカンスタイルのケーキを提供する店が人気を集めていたころだ。
創業当初から販売されているというこの「チーズケーキ」も、当時人気を集めたベイクドチーズケーキのスタイルだが、あまり重厚さはなく、さっくりとした食感でしつこくない。筆者も1980年代に、何度かこのチーズケーキを食べた記憶がある。
食べ物の嗜好(しこう)というのは、とても保守的なものだと思う。人生のある時期に食べておいしいと感じた食べ物は長く記憶に残り、いつかふと、また食べたくなることがある。同店には、最新のトレンドを追いかけたような気取った商品は存在しない。そのことが少しうれしいと感じるのは、やはり年齢を重ねたせいなのだろうか。
●店舗情報
「レモンドロップ」
所在地=東京都武蔵野市吉祥寺本町1-2-8 レモンビル1階(駅ビルの「アトレ吉祥寺」にも店舗あり)
◇外食レストラン新聞の2018年8月6日号の記事を転載しました。
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