『やめていい家事』というタイトルに思わず目を奪われます。著者のマキさんは、便利グッズによる時短よりも、何もないシンプルな生活の方が時短になり、家事から上手に解放されると言います。そうすれば、子どもとの時間が増え、家族が自然と笑顔になる。マキさんのシンプルライフを知りたくて、お宅に伺いました。

何にもなくても生活できると気づいた日

シンプルライフというのは、お気に入りだけに囲まれた暮らしのことです。目覚めたのは、いま5歳の次女が産まれる時。それまでは普通のママで、便利グッズを買い漁って時短につなげようと必死でした。例えば、100円均一の子どもサイズのおにぎりを握るグッズとか。

でも、あまりに物が多すぎて、いざ使おうという時に見つからない、あっても使いこなせない。時短のはずなのに、時間に追われる生活はそのままで、これで子どもが2人になったらどうなるんだろうと焦っていました。

次女の出産のため入院中、夫が家の中のものを捨ててしまったんです。絵のない縁だけの額縁、フェイクの観葉植物、無駄な間接照明…。当時の私はそれがおしゃれだと思って飾っていたので、当然怒りました。でも、実際はホコリをかぶった無駄なものでした。そこで気づいたんです。ほとんどなくなった部屋でも何も困らないって。

それから私も物を捨てられるようになりました。必要な物も、本当に気に入ったものだけになりました。何もない方が掃除もしやすいでしょう? 子どもたちとゴロゴロしたり、おもちゃを思いっきり散らかすこともできる。時間にもゆとりが持てるようになり、余った時間でよりおいしい物を食べたいと、食に対してちゃんと考えることもできるようになりました。

旬のもの、新鮮なものはそれだけでとてもおいしい

素材をそのまま食べるのが一番おいしいですね。あまり手を加えないので時短にもなるし、ヘルシーだし。旬のもの、新鮮なものはそれだけでとてもおいしいし、結果的に安上がりになるのではないでしょうか。

私はきれいなにんじんよりも、土がついたゴツゴツしたにんじんの方がおいしそうだし、本物だと思っています。みなさんも一度、選んでみてください。そして、みそかマヨネーズをつけて、そのまま食べてみて。

舌が肥えているかどうかというのは、高級店の料理を食べたことがあるかどうかではなく、いかに新鮮なものを食べているかどうかだと思います。うちの子どもたちは舌が肥えていますよ。

ミニトマトも新鮮なものならサクランボを食べるようにバクバク食べますが、そうでないと、すぐに「いらない」と食べません。いまはスーパーマーケットでも地元の野菜や朝穫れ野菜を置いているので、いろいろと試して味を比べてほしいですね。

子どもの好き嫌いもOK いつかは好きになってくれる

野菜は何でも好きです。おいしい野菜というのは、旬であり、新鮮であることですね。うちの子どもたちにも好き嫌いはありますが、私はあまり気にしていません。大人になったらきっと食べるようになると思っていますから。私だって、アボカドやズッキーニ、特にパクチーなんて「何、これ?」って思っていましたが、いまは大好きですもの。

子どもたちには、いろいろな食べ物があることと野菜には旬があることを知ってほしいと思っています。うちでは例えば、夏ならとうもろこしを毎日食卓に出す。飽きる頃には秋なので、次はさつまいもやぶどうを毎日出します。だから、うちの食卓では冬にきゅうりは出ないし、逆に大根や白菜が夏の食卓にのることは一切ありません。

子どもたちが大きくなった時に、旬の野菜が一番おいしくて、いまは何が旬なのか、自然に身についていればいいなと思っています。

【プロフィル】
10歳と5歳の2人の娘、夫との4人家族。広告代理店でテレワークをしながら、不必要なものは持たない、不要な家事はしない暮らしを綴ったブログ「エコナセイカツ」が人気に。全国のNHK文化センターでの講演活動やアパレルブランドとのコラボなど、幅広く活躍中。『しない家事』(すばる舎)、『ゆるく暮らす毎日がラクで気持ちいい、シンプルライフ』(マイナビ出版)など著書も多数。

<新刊本のご案内>

『マキ流やめていい家事』宝島社 1,200円(税別)ムック、125ページ家仕事が嫌いな私だから行きついた、“虫のいい家事”で家族が笑顔になる暮らし

◇百菜元気新聞2018年8月1日号の記事を転載しました。