福岡在住、料理家・ひるめし研究家のノザワエミです。全国各地で気温が37度を越えるスーパー猛暑日が続いている2018年の夏。気温が人間の体温を上回ることで熱中症を発症するリスクが高くなり、食欲不振に陥ることも。今回は飲む点滴ともいわれている栄養満点の「甘酒」を使った冷たいおやつをご紹介します。

手づくりできる甘酒のもと

麹と米があれば手軽に手作りできる甘酒。つくり方も様々ありますが、今回は炊飯器を使い、麹のみで作る方法ともち米を加えて甘酒のもとを作る方法をご紹介します。いずれも甘酒として飲む場合は2倍に希釈します。

麹のみでつくる

<材料>
麹…200g
湯…400cc(麹の倍量)

<つくり方>

  1. 炊飯器に手でほぐした麹と、55度に冷ましたお湯を入れふきんをかける。
  2. 炊飯器の蓋が少し開くように鍋の蓋などをかぶせて閉め、4~5時間保温する。
    途中で全体を混ぜ、60度を保つように蓋の開け具合を調整する。
  3. 鍋に移し常温に冷めてから、70度まで加熱する。冷蔵で1か月ほど保存可能。

麹ともち米でつくる

<材料>
麹…500g
もち米…600g
水…5合分

<つくり方>

  1. もち米を5合の線まで水を入れて炊く。70度になるまで混ぜて冷ます。
  2. (1)にほぐした米麹を加え混ぜ、60度に冷めたら布巾をかけて蓋を開けたまま保温する。
  3. 5~6時間たったら全体を混ぜ、60度を保つよう蓋の開け具合を調整する。
    10時間後に完成。

レシピ参照:塩麹と甘酒のおいしいレシピ 著者 タカコ・ナカムラ

甘酒のもとを使った冷たいおやつレシピ

市販の麹甘酒でもおいしく手軽につくれるひんやりおやつ。まぜるだけの簡単レシピなのに栄養価が高く腹持ちが良い優れもの。

甘酒と桃のシャーベット

砂糖を加えなくてもしっかり甘いシャーベットに

いちご、ブルーベリーなどお好きな果物でバリエーションは幾通りも!

<材料>
甘酒のもと…100cc
水…200cc
桃…1個

<つくり方>

  1. 桃は種を取り半分を皮付きのままざく切りにしバットに取り分けておく。
  2. 甘酒のもと、水、残りの桃(皮付きのまま)をミキサーにかける。
  3. (2)を(1)のバットに入れ冷凍庫でほどよい固さまで凍らせる。
    時々フォークでかき混ぜて空気を含ませるとふんわり仕上がる。

フルーツスムージー

凍らせた果物を使ってヒンヤリ

食欲のない朝にもおすすめ。満腹感たっぷりのスムージー!

<材料>
甘酒のもと…大さじ2
冷凍バナナ…1本(好みのくだものでOK)
無調整豆乳…200cc(牛乳でもOK)
きな粉…大さじ1
塩…ひとつまみ

<つくり方>
すべての材料をミキサーに入れて撹拌したら完成。

甘酒スパークリング

清涼感いっぱい!のどごしすっきり!

甘酒独特のトロミが軽減されることで、夏に飲みやすいドリンクに!
柑橘の代わりに生姜のしぼり汁でもおいしい。

<材料>
甘酒のもと…100cc
炭酸水…200cc
好みの柑橘果汁…適量

<つくり方>

  1. グラスに甘酒のもとを入れ、炭酸水を注いだら軽くかき混ぜる。
  2. 好みの柑橘果汁を絞ったら完成

甘酒の種類とその違い

大きく分けて、甘酒には「米と麹」で作るものと、「酒粕と砂糖」で作るものの2種類があります。

「酒粕と砂糖」で作る酒粕甘酒

麹を発酵させて日本酒などを製造して残った粕をベースに砂糖を加えて作ります。食物繊維が豊富なことと、糖分を加えるのでカロリーも高くなります。またアルコールが残っているので、水・砂糖・生姜などを加えたら沸騰させてアルコールをとばします。

「米と麹」で作る米麹甘酒

最近はスーパーでも手軽に購入できる米麹

近年、健康や美容によいと話題になっている甘酒はこの米麹甘酒です。

麹の発酵作用を利用して米から作ります。発酵の過程で米のデンプンがブドウ糖に分解さてることで甘くなります。甘味の主成分がショ糖ではなくブドウ糖であることから、飲む点滴ともいわれています。ノンアルコールでお米のミネラル分が含まれているのが特徴です。

甘酒が体によい理由

ブドウ糖・ビタミンB群が豊富

麹の主な栄養素は、脳のエネルギー源となるブドウ糖。点滴と成分がよく似ていることから甘酒は「飲む点滴」といわれています。ブドウ糖は食べるとすぐに血糖値を上昇させるため少量でも空腹感を抑えられます。また、体内では作られない物質ビタミンB1B2B6パントテン酸ビオチンなども豊富に含まれています。

麹菌・麹酸の秀逸なはたらき

麹菌にはデンプン消化酵素のアミラーゼ、タンパク質分解酵素のプロテアーゼ、脂肪分解酵素のリパーゼの三大消化酵素が豊富に含まれていて酵素の宝庫ともいわれています。麹菌が米のデンプンを糖に変える過程で生み出される麹酸は抗酸化物質のひとつ。

老化の元凶の活性酸素発生を抑え、高血圧や肥満を防止し、疲労を回復し、免疫力を強化してくれるといわれています。また、腸内を善玉菌で活性化し、便秘を解消して腸内環境を整えたり、アレルギー症を防ぐ効果も期待されるといわれています。

さらに、シミやほくろの原因になるメラニン色素の生成を抑えたり、毛穴と皮膚の古い角質が取れ表皮の新陳代謝が高まり肌がきれいになるといわれています。

参考:ひとさじで料亭の味!魔法の糀レシピ 著者 糀屋本店 浅利妙峰著

夏の季語でもある「甘酒」。江戸時代から夏に冷やして飲まれることが多かったといわれています。厳しい残暑も予想される平成最後の夏を「甘酒」で乗り切りましょう。