福岡在住の家庭料理研究家ノザワエミです。毎日の食事に欠かせない味噌汁ですが、ついお決まりの具材に偏ってしまうことはありませんか?
味噌汁といえば、家庭料理中の家庭料理! 野菜、海藻、豆腐、魚介、肉など、どんな具材でも合わせやすくアレンジ自在なところも嬉しい料理です。今回はたった一杯のお味噌汁がご馳走になる、食べごたえ抜群の具だくさんみそ汁のレシピと超カンタンなおだしのとり方をご紹介します。

食べごたえ抜群!具だくさんのおかず味噌汁

ごはんと具だくさんの味噌汁があれば、毎日に必要な栄養素は十分に摂ることができます。そして、その具だくさんの味噌汁にルールは存在しません。みそを溶く水分が水だけでなくても、残り物の揚げ物が入ってもOK!

毎回違う味にはなるけれど、時にとてつもなくおいしい味噌汁と出会えることもあったりして、楽しく料理することができます(笑)

根菜やきのこ、海藻や豆腐をたっぷり使ってヘルシーに仕上げたり、魚や肉などを使えばうまみも増し、食べごたえ抜群! 今回は、我が家で人気の具だくさん味噌汁をご紹介します。

カレー味噌汁

子どもに人気の味噌汁です。意外かもしれませんが、トマトと昆布だしは相性抜群なんです!

【材料】4人分
トマト 1個(8等分のくし形切り)
ツナ水煮缶 1缶(水気をきって軽くほぐす)
ゆで卵 4個(お好みの固さに茹でたもの)
カレー粉 大さじ1
みそ 大さじ4
昆布水 800ml

【作り方】

  1. 鍋に分量の昆布水を沸かし、トマト、カレー粉、みそを入れ沸騰直前まで温める。
  2. ツナ缶、ゆで卵を入れ、再び沸騰直前まで温めたら完成。

クリーミー味噌汁

キャベツは部分はスライスしてから軽く炒めて投入すると香ばしくておいしいです。パンの朝食にも合う洋風味噌汁。

【材料】4人分
キャベツ 200g(1cm幅のせん切り)
ベーコン 4枚(1cm幅のスライス)
とうもろこし 1本(実の部分をそぎ切り、またはコーン缶)
みそ 大さじ5
昆布水 600ml
牛乳 200ml
粉チーズ 少々(お好みで)
黒コショウ 少々(お好みで)

<作り方>

  1. 鍋にベーコン、キャベツ、コーンを入れ軽く炒める。
  2. (1)に昆布水を入れ沸騰させる。
  3. (2)にみそを溶き入れ、沸騰直前で牛乳を加える。
  4. 再び沸騰直前まで温めたら器に盛り、お好みで粉チーズ、黒コショウを散らしたら完成。

青菜と玉ねぎの味噌汁

季節の青菜をたっぷり使った味噌汁。新たまねぎの季節は甘みが増しておいしい。我が家は赤玉ねぎを使いほんのりピンク色のお味噌汁を楽しんでいます。

【材料】4人分
クレソン 1束(ざく切り)
玉ねぎ 1個(薄切り)
油揚げ 1枚(短冊切り)
みそ 大さじ4
昆布水 800ml

【作り方】

  1. 鍋に昆布水を沸かし玉ねぎに火が通るまで煮る。
  2. 油揚げ、みそを加え沸騰直前まで温めたら火を止める。
  3. ざく切りにしたクレソンを器に盛りつけ、(2)を注いだら完成。

「だし」で味噌汁のうまみアップ!作り置きできる昆布水

「だし」とは、天然素材から「うま味」成分を抽出した液体のこと。一口に「だし」といってもさまざまな種類がありますが、昆布で取る「だし」は上品でやさしいので、素材の味・香りを生かした味噌汁に最適です。

体によくておいしいことはわかっていても「面倒」なイメージのあるだし取り。でも、昆布を水に一晩漬けるだけで簡単にだしがとれます。また、作り置きしておくといつでもすぐに使えて便利!「昆布水」をプラスするだけでうま味がグ~ンとUPします。

【使う昆布の種類】
「だし昆布」と明記されている平たい昆布(真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布など)。煮昆布用と表示されているものや、原材料に醸造酢など昆布以外のものが明記されている場合はむきません。

【基本分量】
だし昆布:20g程度
水:1.5L

【作り方】
昆布をそのまま漬けても、細く切った昆布を漬けてもOK! ポットにミネラルウォーターか水道水を注ぎ、昆布を3時間以上(できれば1晩)漬ければ出来上がり。

【保管の目安】
冷蔵庫で1週間くらいはもちますが、夏場などはできるだけ早めに使い切りましょう。

参考サイト:一般社団法人日本昆布協会 こんぶねっと

究極のご馳走「一汁一菜」のすすめ

「一汁一菜」とは、ごはんを中心として汁とおかずそれぞれ一品を合わせた食事のスタイルのことです。昔の庶民の暮らしではおかずが付かないことも多く、実際には「味噌汁」「ごはん」「漬物」で一汁一菜のスタイルを担っていたと言われています。

子育てをして、仕事をして、家事をして、介護をして…と現代人には余裕がないのに、ちゃんとしたごはんを作らなければいけないと言われたり、思い込んでいたりする人が本当に多いと感じています。「しなければいけない」という状況での料理は、ストレス以外の何ものでもなく、これが日に三度となると相当な負担になっているはず。

本来、料理はこれを「食べたい」「食べさせてあげたい」という幸福感を得るためのもの。作る人も食べる人も笑顔になれる家庭の食卓は、たくさんのご馳走が並ぶ豪華なものではなくていいと思っています。旬の野菜や家族が好きな食材をたくさん入れたお味噌汁と炊きたてのごはんと漬物や佃煮があれば、お腹は十分に満たされ、栄養のバランスもよく、時間的余裕も得られます。

辛い思いをしてたくさんの品数を揃える食卓よりも、シンプルでも栄養満点でママが笑顔な食卓のほうが家族にとってはご馳走ではないでしょうか?

参考文献:『一汁一菜でよいという提案』土井善晴著、グラフィック社