【マクドナルド】イタリアではチキンナゲットはメインディッシュ!?
ボンジョルノ。イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。今回はマクドナルドのチキンナゲットについての話題です。ハンバーガーと並んで根強い人気があるチキンナゲットは、いわゆる鶏肉の揚げ物なので、国境を超えて世界中で気軽に受け入れられている定番のメニューです。
ところが同じような形に見えても、中身はそれぞれの国の事情に合わせて、少しずつレシピを変えているようです。独自の食文化を誇るイタリアと日本のナゲットを徹底比較してご紹介します。
スローフードの国イタリアでも人気のマクドナルド
伝統的なイタリア料理をこよなく愛するイタリア人。食にこだわる国民性を反映して、マクドナルドがイタリアへ初上陸したのは、フランスなどよりもかなり遅く1986年になってからのことでした。街の景観を損ないようにと、マクドナルドの派手なシンボルカラーを使わないことを条件にオープンしたほどです。
ところが、それから30年以上経った今では、若い世代を中心にすっかりイタリア人の暮らしの中に定着しているように思えます。値段が安く手ごろで便利、という理由はもちろんですが、その裏には、イタリアという国の事情に合わせたマクドナルドのマーケティング戦略が功を奏しているようです。
チキンナゲットって鶏のどの部分でできている?
数あるメニューの中でも、イタリア料理にもあるチキンのフライにも似ているナゲットは、イタリア人にとっても当初から比較的抵抗なく受け入れられるメニューです。
しかも、イタリアでは鶏の胸肉はカロリーが低く人気があるので、脂肪分の多いもも肉ではなく胸肉を使用しています。ナゲットの包装にも鶏の胸肉(PETTO DI POLLO)100%と明記していて、ハンバーグなどに比べてずっとヘルシーなメニューであるという印象を与えています。
一方、日本では鶏の胸肉はパサパサしていてあまりおいしくないというイメージが強く、もも肉の方がジューシーだと人気です。日本のナゲットの材料は、鶏のもも肉・胸肉・鶏皮です。
栄養情報からレシピの違いを知る
そこで今度はホームページから、ナゲットのアレルギーや栄養情報を調べてみました。イタリアのナゲットは、意外なことにグルテンとセロリのみ。
日本のナゲットは鶏肉と小麦粉のほか、揚げ油の主原料として牛肉、そして揚げ油を共有している材料としてオレンジとゴマが記載されています。
オリーブオイルの国イタリアでは、揚げ油は動物性より植物性のものが一般的なため、植物性油を100%使っているとホームページ上に明記されています。揚げ油が違うと、当然、風味は変わってきます。
今度は100グラムあたりの成分表で比較してみると、イタリアのナゲットは251キロカロリーで日本より12キロカロリー低く、脂質も日本より3グラム少ない13グラムです。
また、たんぱく質の量もイタリアのものは日本より0.5グラム多い16グラム、繊維の量は倍以上、塩分は日本のものより微妙に少ないという結果でした。わずかですが、イタリアの方がヘルシーと言えますね。
しかも、1人分の量が日本は5個入り100グラムなのに対して、イタリアは4個入りで70グラム弱と量も少なめです。
チキンマックナゲット 5ピース McDonald’s
Chicken McNuggets(R) McDonald’s Italia(イタリア語)
ナゲットに合わせるソースは?
ナゲットだけではなく、合わせるソースも違いを発見しました。日本の定番ソースのマスタード、バーベキューソースに加えて、ケチャップ、スイート&サワ―ソースの4種類が、イタリアの定番ソースです。
また、いろいろなソースを使う伝統がないイタリアでは、日本のような期間限定ソースはありません。
イタリアのナゲットは、4個入り、6個入りだとソースが1種類、9個入りで2種類、20個入りで4種類無料でついてきます。
日本のナゲットはメイド・イン・タイ!
さらに日本のマクドナルドのホームページを読み進めると、徹底した衛生管理を行うタイの工場で、タイ産の鶏肉の品質管理をきちんと行い安全に作られているという情報が目に留まります。
中国産のナゲットの事件を払拭するかのように、タイ産ということを強くアピールしています。
一方、イタリアのホームページには、鶏肉の生産地についての記載はなく、植物性の餌を使った育てた高品質の鶏肉を使用しているとあります。イタリア国内で調理した後すぐに冷凍にして各店舗に届けているともあり、一見するとイタリア産の鶏肉を使っているような印象を受けました。
チキンナゲットはメインディッシュ!
イタリアのナゲットの最も大きな特色は、サイドメニューではなく、メインにあたるパニーニ(ハンバーガー)に分類されていることではないでしょうか。
メインの料理としてナゲットを、サイドメニューに付け合わせのポテトを選んで食べると、イタリア料理風に食べることができますよ、という意味ではないかと推測されます。
値段も4個入りで2.5ユーロ(約320円)なので、ポテトフライのSが1ユーロなのに比べるとかなり割高で、値段的にもメインディッシュの扱いです。
とはいえ、イタリア在住日本人10数人に聞いてみたところ、両者の違いに気付いた人は皆無でした。さすがマクドナルド! 世界共通のイメージが浸透しているのだということを実感しました。
海外旅行の際には、それぞれの国のナゲットを試してみるのも一興ですね。
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