タコスの皮から手作り、外国人に人気のメキシコ料理店

大阪市中央区のビジネス街の一角に、外国人が多く訪れるメキシコ料理店がある。「タケリア　ラ　フォンダ」は、メキシコ料理にほれ込んだ店主の岩崎孝彦さんが、本場の味を基に、岩崎さんがおいしいと思う料理を提供する。開店して約1年は客足がまばらだった同店が、今では人気店となっている。

旅行口コミサイトで外国人客が高評価

同店が最も大事にしているのが、トルティーヤ（タコスの皮）を手作りで作っていること。1枚ずつ鉄板で焼くため「正直、面倒ですが、ウチの肝になるところですから。自分で作らないと気が済まない」と岩崎さん。メキシコ料理を食べ慣れた外国人客から「おいしい！　これは手作りか？」と聞かれることも多いという。

トルティーヤだけでなく、三角形にカットして揚げたチップスや、サルサソース、ディップなども自家製だ。岩崎さんは、メキシコ料理店で修業した後、メキシコで料理を食べ歩いて研究し、店を開いた。

オープンしてから1年くらいは客が少なく、「店を閉めようかな」と思ったこともあるという。ところが、1年を過ぎたあたりから、外国人客が増える。来店したある欧米人が、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」に自ら登録し、高評価をしてくれていたのだ。

SNSなどのメディアに興味がなかった岩崎さん。客から「大阪市内で2位の人気」「日本全国でも11位」と聞き、驚いた。そうして、外国人客だけでなく、同時に日本人客も増えていった。

同店が人気店になった理由は、本場の味わいを、肉質や塩加減などを調節した手作りで楽しめることと、明るくフレンドリーな接客だろう。英語は堪能ではないという岩崎さんだが、喜んでもらおうと満面の笑顔で対応する姿が印象的。

外国人比率は全体の約3割で、特にメキシコ料理が好きなアメリカ人が多い。日本人客と違い、複数人で来店しても、それぞれがオーダー、料理を出すタイミングを一緒にして、別会計と手間はかかる。

しかし、「メキシコ料理を食べ慣れた方からおいしいと言ってもらえたときが最高」と話す岩崎さん。現在は、ピザやピラフ、サラダなど品数多く提供しているが、今後はメキシコにあるタコス屋のように、もっとタコスを中心にした店にしたいと考えている。

◇外食レストラン新聞の2017年5月1日号の記事を転載しました。