皆さん、夕食の献立を立てる際、どんなことを重視されていますか? 栄養、食べやすさ、家族が喜んでおいしく食べてくれそうか…。人それぞれ、いろいろなポイントがあるかもしれません。最近はご自宅の晩ご飯メニューなどをSNS投稿される方も多いようなので、“見た目”を重視!という人もいるかもしれません。
でも、SNS映え重視の、その彩り豊かなお宅のメニュー、実は栄養不足の“つもり食”になっちゃってるかも!? エバラ食品工業が子供からシニアまで男女724人を対象に、インターネットで「食事と栄養に関する、意識と実態の調査」を行ったところ、多くの料理が並んだ一見バランスの良さそうな夕食でも、実は“栄養バランスが偏っている”ことが分かったそうなんです!

20~30代の働く独身女性の夕食をチェック

今回の調査は、夕食の写真を撮影し、食べたメニューを記入する-という方式で進められました。

例えば、こちらの「20代働く独身女性の夕食」メニュー。

・自宅で作ったハンバーグ2個
・コンソメスープ1杯
・ガーリックライス1杯

赤・黄・緑がそろってバランス良く…見えますが。ビタミン類、食物繊維、カルシウムが不足しているのだそう。

それでは、この「30代働く独身女性の夕食」メニュー。

・豚バラ大根1皿
・きのこ炊き込みご飯お茶碗1杯
・レンコンきんぴら1皿
・ブロッコリーと卵のオイマヨサラダ1皿
・ウーロン茶1杯

は…と申しますと。こちらはビタミン類、食物繊維、鉄分、カルシウムが不足!

もう一つ、こちらの「30代働く独身女性の夕食」メニューは…

・白米お茶碗1杯分
・自宅で作ったミネストローネ1杯
・自宅で作ったブリの照り焼き半切れ分
・スーパーで購入した絹豆腐1個
・醤油をかけた生卵1個
・キュウリとセロリ6スライス

かなりの充実度ですが、これですら食物繊維とカルシウムが不足。このレベルでも、ダメなんですか!?

しかも、恐ろしいことに! これら三つのメニュー、カロリーと塩分は過剰傾向なのだといいます。この“SNS映え間違いなし♪栄養バランス良さげな、きちんと手作り系”夕食でカロリー、塩分取り過ぎは想定外すぎ…。

20~30代の働く独身女性は、他の調査対象区分と比べて外食率が高かったうえ、自炊をしても食べる量が極端に少ない人が多く見られたのだとか。品数が多く、カラフルで見た目には栄養バランスがとれていそうな食事でも、管理栄養士から見ると「栄養バランスに偏りがある」そうなんです!

カラフルな差し色食材を取り入れた“つもり食”のワナとは!

ぱっと見、華やかでおいしそうに見える献立が、栄養不足の落とし穴にはまる原因とは-。医学博士で管理栄養士の本多京子先生は、「何にどのくらいの栄養素が入っているのかを把握せず、トマトやきゅうり、アボカドなどカラフルな差し色食材を取り入れ、栄養バランスがとれている“つもり食”になっている方が多く見受けられます」と指摘されています。

例えば食物繊維。本多先生によると、差し色によく使われるトマト100g(大玉トマトの約半分)で1.0g、レタス100g(約1/3個)でも1.1gしか取れないのだそう(日本食品標準成分表2015年版)。

一方で、1日に必要な食物繊維量は成人男性で20g以上、女性で18g以上といいます。大玉トマト半分、レタス1/3個なんて、結構食べるのが大変な量ですけれど、全く足りてません…。

本多先生は、食事の中に差し色感覚で野菜を足すだけでは、不足しがちなビタミン類や食物繊維、鉄分、カルシウムは補えないと指摘されます。「“栄養バランス”より“写真映え”を気にしているのかもしれませんね」(本多先生)。確かに…。

今回のネット調査で対象になっていたのは20、30代の独身女性の夕食でしたが、子育て中の読者もドキッとされた方がいらっしゃったのでは?

赤、黄、緑の野菜をバランス良く差し色でプラスして、栄養素がとれた“つもり”…を続けていたら、家族は将来どんなことに!? 考えただけでも恐ろしいことになりそうですよね。食品の栄養素をしっかり調べたうえで、毎日の献立作りを行なった方がよさそうですね。

味付けに関しては、本多先生が「過剰になりがちな塩分は、味付けの仕方を工夫したり、薬味を使ったりすることで減らすことができます」とアドバイスしてくださいましたよ♪

ビタミン、ミネラル不足解消のカギは“たんぱく質”の種類!?

さて! それでは、“つもり食”のビタミン、ミネラル不足は何で解消すれば良いのでしょうか? カギは、なんと20、30代の働く女性が夕食で摂取した“たんぱく質の種類”にありました!

20、30代の働く女性が夕食で食べたたんぱく質源でダントツに多かったのが「卵」(40.8%)。次いで「豆腐」(26.1%)、「鶏胸肉」(21.4%)の順になっています。本多先生は「これらのたんぱく質源だけでは、今回の調査で明らかになった“つもり食”によるビタミン、ミネラル不足は解消できません」と指摘されます。

では、どうすれば…?「たんぱく質食品は量だけでなく、同時に含まれているビタミンやミネラルにも注目しましょう。牛肉や豚肉、レバーなどは、たんぱく質をとりながら、不足しがちなビタミン、ミネラルを補給することができます」(本多先生)。なるほど!

例えば、牛赤身肉は、特に女性に必要な鉄分を効率よく摂取することができます。野菜や大豆などの植物性食品にも鉄分(非ヘム鉄)が含まれているのですが、肉、魚などの動物性食品に含まれる鉄分(ヘム鉄)の方が5~10倍も効率よく体内に吸収されるといいます。

また、ヒレやももなどの豚赤身肉は、糖質のエネルギー代謝に欠かせないビタミンB1を多く含んでいるそう。

本多先生は「糖質が代謝されないと、身体の中に脂肪として蓄積されてしまったり、疲れやすくなってしまうので、甘いものが好きな人や倦怠感のある人におすすめの食材です」と教えてくださいましたよ。なんと、ヒレやももなどの豚赤身肉なら、成人女性に必要な1日分のビタミンB1の推奨量(1.1mg)をたった100g程度で摂取できてしまうのだそう!

エバラ食品のサイトでは、同社の管理栄養士・菊岡裕子さんが考案した“帰宅後10分でできるおしゃれな健康食”「ブロッコリーライスで食べる!黄金タコライス」のレシピなども紹介されているんですよ。

献立メニューの差し色に色鮮やかな野菜を加えて、満足しがちだったという方々や、なんとなくヘルシーなイメージで、たんぱく質源に卵や豆腐、鶏胸肉を選んでしまっていた…という皆様。これからは、食事の献立を立てるときの材料の選択肢に牛肉や豚肉、レバーなどを加えて、ビタミン、ミネラル補給に努めてみてくださいね♪