オリーブオイルドバァー、塩ファサー、謎の食材名を唱える、リクエストを完全スルー……などなど、速水もこみちさんの自由すぎる料理が、たびたび話題になる日本テレビ「ZIP!」の「MOCO’Sキッチン」。みなさん、なんだかんだ言って大好きですよね。私も大ファンです。最高のエンターテインメントだと思います。
しかし、みなさん!「MOCO’Sキッチン」はお料理番組です。主婦たるもの、ツッコミ専門で傍観しているわけにはいきません。もこみち流はエンターテインメントで終わるのか? それとも主婦の味方になり得るのか? 主婦歴7年、2人の子持ち(5歳と1歳4か月)、たべぷろ編集部員Sが、もこみち流に挑みます。

スリランカカレーに初挑戦! 謎の食材の正体は

挑戦するのは2018年5月30日放送の「もこみち流 スパイシー フィッシュココナツカレー」。スリランカ風カレーだそうですが、「トゥナパハ」というこれまた聞いたことのない調味料をさらっと使い、「てかそれ何???」と世間をザワつかせた回です。

もこみち流 スパイシー フィッシュココナツカレー MOCO’Sキッチン 日本テレビ

レシピに載っていた食材のうち、馴染みのないものが2つ。「トゥナパハ」と「カー」です。

調べてみると、「トゥナパハ」はスリランカカレーに使われる、ミックススパイスのことでした。「カー」はナンキョウとも呼ばれ、タイでは一般的な食材だとか。日本でお馴染みの生姜よりも辛味が強くてピリッとした味わいが特徴だそう。

「よしよし、なんとなくわかったぞ」ということで、買い出しへ出発! 買い物リストを手に、ルンルン気分で自転車をこぎ始めた編集部員S。この時はまだ、これが長い旅の始まりだとは気づいていなかったのです……。

買い出し中、「トゥナパハ」って何回言ったか分からない

はい。旅が長すぎたので、はぶきます。

結論からいうと、回ったスーパー、および食材店は計8軒(オオゼキ、サミット、カルディ、成城石井、クイーンズ伊勢丹、ライフ、地元の八百屋、魚屋)。汗だくのへとへとになりながらも、手に入らないものが5つありました。

トゥナパハ(想定内)、カー(想定内)、フレッシュなレモングラスと赤トウガラシ(共にわずかな希望はあった)、スズキ(シケで高騰していて入荷予定なしとのこと)。

カーは普通の生姜で、スズキもほかの白身魚で、レモングラスと赤トウガラシは乾燥したもので代用するとして、問題は「トゥナパハ」です。

「今日、私何回トゥナパハって言っただろう? そして何回正しく言えただろう?」などとうっすら悲しくなってきたけれど、ないものはない。少なくともわたしの生活圏内には存在しない。ネットで買えるようだけど、送料もかかって高くつく。しかも「今日食べたいんじゃ!」ということで、トゥナパハ、作ることに決めました。

アバウトすぎるレシピと直感を頼りに…目指すは「魅惑の香り」

「トゥナ」はシンハラ語で「3」、「パハ」は「5」。コリアンダー、クミン、フェンネルの基本の3種に2種のスパイス(シナモン、カルダモン)を加える混合スパイスだそうです。もっとたくさんのスパイスを調合するレシピもありましたが、初心者なので、シンプルにいきます。

(上に並ぶカルダモン、シナモンは加熱なしで)

まずは基本の3種を鍋に入れ、弱火でじっくり熱を加えます。「おおお~! これは!」いつもの台所は、瞬く間にエスニック空間に変わります。が、火からおろすタイミングが分からず、明らかに焦げた臭いが……。

再チャレンジ。そもそも参考サイトのレシピ、「こころをひきつける媚薬の香りに変化」「直感したら火からおろす」って……。見たことも触ったことも食べたことも嗅いだこともない私にはアバウトすぎる。

なんかそれっぽい香りがしてきた。テンション上がってきたぞ!

バーミックス、コーヒーミルなどで粉砕します。「シナモン、カルダモンは熱を加えない方が良い」との参考サイトの指示通り、そのまま投入して、いざ、スイッチオン。

トゥナパハ 完成!

おがくずのような見た目に、「これ食べられるのか?」と指の先にとってペロリ。するとどうでしょう。華やかな香ばしさが口の中から鼻腔に抜け、複雑に絡みあった甘みと酸味、少しの苦みがふんわりと舌に広がります。目をつぶれば、ここは日本ではないどこか……。

やるじゃん、私。ついに謎食材をゲットした!

と、すでに大作料理を作ってしまったかのような気分ですが、本番はここからです。

次回は、「スパイシー フィッシュココナツカレー」の調理と実食編です。もこみち料理の意外な(小さい子どもがいる我が家にとっては重大な)発見もお知らせします。

参考サイト:かしゃぐら通信