広島県東広島市在住のたべぷろ編集部員の椛山瑛です。自然豊かな瀬戸内の海に面する広島県。プロ、アマを問わず釣りを楽しむ人が多く、こちらに来てから魚を頂く機会が増えました。そのおいしさを知っていても、「魚丸ごと」はハードルが高いもの。ついついスーパーで処理した魚を買ってしまう私には、「魚を三枚におろす」はもはや神の域です。そんな私でも簡単にできる三枚おろしの方法を、地元漁協の組合長さんから教わったので紹介します。

まずは丸ごと魚のうろことはらわたの下処理から

この日の練習用に準備されていたのは、体長30cmを超えるチヌ。クロダイとも呼ばれ、地域によっては好んで食べられる魚です。チヌのおいしさをもっと知ってもらいたいという組合長さんの思いもあって、この日はチヌを用意していただきました。

かきを餌にして釣る「かぶせ釣り」という、広島ならではの漁法で釣ったチヌ

まずはうろこを除くことから。うろこを取る時、あちこちに飛び散るのが嫌ですよね。ビニール袋の中でという方法も聞きますが、手元が見えにくくてやりにくいもの。今回、水中でやる方法を教えてもらいました。

水を張ったおけの中でうろこを取ると、飛び散らず、手元もすっきりして快適です。排水用のゴミ取りネットに、おけの水を流せば後片付けも楽々です。

その後は、えらから包丁をいれてはらわたを出し、頭を落とせば下準備が完了です。

身が透けて見えるほど薄く、三枚におろすコツを伝授

下準備ができたら、いよいよ三枚におろしに挑戦です。骨まわりの身が、透けて見えるほど薄くおろせる、なんてデキル感じがしますよね。無駄な身が残り、あら汁の方が豪華になったなんて経験は誰しもあるはず。そんな悲しい思いを二度としない方法を伝授していただきました。

ここから必要になるのは、万能包丁(もちろん刺身包丁も可)と刃先にギザギザの波刃がついたテーブルナイフだけ。まずは背びれに沿って1cmほどの深さの切れ込みを、包丁でいれます。

この切れ込みができたら、ここからはテーブルナイフに持ち替えて。切れ込みからテーブルナイフを入れ、中骨に刃先を添わせる感じでナイフを滑らせます。

骨に沿ってリズミカルにテーブルナイフを動かす。ナイフの背に指を添えることで手を切る危険が無いので、子どもでも簡単にできる

決してギザギザと身を切るのではなく、ナイフの刃先を骨にあて軽く滑らせるだけ。それだけで面白いように身と骨が離れます。包丁だと身が切れすぎてしまい、骨に身が残ってしまうのだとか。ナイフを滑らせる感覚を覚えたら、包丁に持ち替えても失敗しなくなるそうです。

半身ができたら反対側も同じ要領ですれば、三枚おろしの完成です。身が透けて見えそうなほど、薄くおろすことができました。これができれば、魚料理のレパートリーも増えますね。この日はチヌと一緒に炊き込んだチヌ飯、刺身、カルパッチョとあら汁という豪華なメニューが並びました。

処理された魚をスーパーで買うことがほとんどの今、丸ごとの魚を調理する機会はなかなかないと思います。「魚を三枚におろせるんよ」なんて言えたらかっこいいですよね。機会があれば、ぜひ挑戦してみてくださいね。