エッグタルト店「ウチヤベイク」と、“焼きスパ”の「ローマ軒」がコラボして生まれたのが、「UchiyaBake阪急サン広場店」。それぞれの強みを生かして、タルトとワインが楽しめる新業態を提案し、女性客に好評の人気店として成長中である。

タルト生地と惣菜を組み合わせ

昨年9月に開店した同店をプロデュースするのは、ローマ軒を運営するBelett。同社とウチヤベイクの代表同士が知己の間柄ということもあり、共同事業としてスタートした。店頭には、ウチヤベイクのテークアウトコーナーがあり、「たまごのタルト」などを販売。店内にあるカウンター11席の飲食コーナーでは、食事とワインが楽しめるというユニークな構成だ。

飲食コーナーも女性がターゲット。看板メニューとして、日本ではまだ馴染みが薄いが、欧米ではポピュラーなセイボリータルトを用意している。セイボリータルトは、タルト生地と惣菜を組み合わせた、食事系のタルト。タルト部分は、ウチヤベイクがセイボリータルト用に開発した特製生地を使用。惣菜から出る水分に考慮し、スイーツ用よりも硬めに作られている。

上の惣菜部分は、バルメニューを提供するローマ軒が考案。一番人気は「海老アメリケーヌ」(626円)で、エビの下には小麦のサラダが潜み、魚や野菜を煮込んだアクアパッツァとともに楽しめる。その他、マッシュポテトと豚肉のパテの二層構造でボリュームたっぷりの「パテドカンパーニュ」(同)など計6種類を開発。見た目のおしゃれ感も計算されたメニューである。

人気の30分ワイン飲み放題

さらに、ワインの飲み放題も提供。“お通し”(本日の前菜から2品選択して410円)のオーダーを条件に、30分540円、50分972円で利用できる。ワインは、30種類以上を準備し、幅広いニーズに対応。ワインリストはなく、スタッフが好みに合わせて数種類を提案し、カウンターに置かれたボトルから自由に飲むことができるスタイルである。利用時間は30分の人が多く、回転も良い。

「原価率の高いワインを提供しているが、家賃を抑えて少人数のスタッフでサービスできるなど、狭い店ならではの利点を活用して運営しています」と同社で企画・開発を担当する鮎川博さん。現在のところ、ほぼ計画通りの集客を達成し、業績は順調という。

スイーツ店に併設というソフトなイメージやオープンな雰囲気など、抵抗感なく利用できる店づくりにより、利用客の9割以上は女性。そのほとんどが飲み放題を頼むとかで、女性のワイン志向や、飲み放題へのニーズの高さがうかがえる事例といえよう。スイーツのテークアウトも好調で、相乗効果も生み出している同店。「今後は、メニューなどの進化に取り組みつつ、全国展開も視野に発展を目指したい」と話す。

●店舗情報
「UchiyaBake 阪急サン広場店」 経営=Belett/店舗所在地=大阪府大阪市北区角田8-47 阪急サン広場地下通り/開業=2016年9月/営業時間=午前11時~午後10時。無休/坪数・席数=約10坪(テークアウトコーナー含む)・11席/1日平均客数=70人(飲食利用者)/平均客単価=2000円(同)

◇日食外食レストラン新聞の2017年3月6日号の記事を転載しました。