健康志向を背景に、朝食シーンや間食に加え、定期的摂取需要などで消費シーンを拡大しているヨーグルト。「サクラ印」を展開するはちみつ最大手・加藤美蜂園本舗が17年秋に発売した「ヨーグルトにヨーグル糖」は、その名の通りヨーグルトと最適な相性を実現した新機軸のオリゴ糖(ケストース)含有シロップだ。

ビフィズス菌や乳酸菌はオリゴ糖が大好き

ヨーグルトに含まれる善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌)が好むオリゴ糖のうち、安全性や善玉菌の資化性(養分になりやすい)に優れる「1-ケストース」を豊富に含有。継続摂取に適する自然な甘さや、1回分の摂取量を的確にコントロールできるディスペンパック包装など用途シーンを想定した付加価値型ヨーグルトシロップとして、今後の伸長が見込まれる。

同社では、はちみつに多く含有される「1-ケストース」を含む「フラクトオリゴ糖」の有用性に早くから着目。健康的生活に貢献するヨーグルトだが、含有する有用菌(善玉菌)は腸内では定着せず、その効果は個人差が大きい。

同品では、ヨーグルトの長所をさらに生かすため、ヨーグルトに含まれる有用菌(プロバイオティクス分野)の“餌”としての機能・効果(プレバイオティクス分野)をより高め、近年注目される「シンバイオティクス分野」を実現するものとして開発した。

使用するオリゴ糖はビフィズス菌や乳酸菌に対する資化性が高い。分かりやすく言い換えると、「ビフィズス菌や乳酸菌は、オリゴ糖(ケストース)が大好き」な特性を持つ。同品がヨーグルトと最適な相性を実現する背景には、この独自の機能性がある。

また同品に含有するオリゴ糖は、玉ネギやアスパラガス、大麦やニンニクなどにも含まれている安全性の高いケストース。これを100%北海道産てんさい糖(砂糖大根)から酵素反応で抽出することに成功し、製品化を果たした。味覚面ではクセが無く、砂糖に似た質の高い甘さを実現。ヨーグルトの風味を損なわず楽しみながら毎日続けることができる点は大きい。

容器・容量でも工夫を凝らした。ディスペンパックによる個包装形態を採用、これにより毎日の使用量が明確に把握できるほか、衛生面や使いやすさにも優れる。ヨーグルトは100g前後単位で消費されることが多いが、大容量製品の主流である400gに合わせ、4回分(15g×4個)で梱包(こんぽう)、家庭内での消費シーンに合わせた商品形態となっている。

介護現場でも効果期待

シンバイオティクスの側面から腸内環境を改善することにより、高齢化社会を背景とする国内の課題解決にもつなげる方針だ。例えば介護施設などでは便秘に悩む高齢者も多く、排せつ物の減臭効果などで介護負担の軽減にもつながる。事実、介護施設や老人ホームからの問い合わせが増加しており、分量の分かりやすさなども含め好評だ。

今後は店頭でのヨーグルト製品とのタイアップやオンパック、さらにカフェメニューへの提案など販路拡大にも挑む。「ヨーグルトの健康価値をさらに高め、健康的な生活支援の一助になれば」(同)–はちみつ最大手こん身の自信作の動向に要注目だ。

◇日本食糧新聞の2018年3月9日号の記事を転載しました。