神戸市在住のたべぷろ編集部員の田添マチ子です。お正月が終わるのと同時に、実家から送られていたお餅のストックのゴールも間近。お餅を食べ続けた日々に終止符ね…と感慨にふけりながら街を歩いていたら豆大福に目が留まりました。白粉を付けた薄皮の下からうっすら覗く黒豆。それを一口頬張ったら…と妄想が止まりません。お正月が終わったからって悲しまなくてもいいのです。餅のシーズン(お正月)が終わったら大福です!
せっかく食べるなら極上のものが食べたい!ということで神戸の美味しい豆大福を探し、一軒の和菓子屋に行きあたりました。その名も「四代目松川」。どんな豆大福を作っているのでしょうか。

なぜ2月9日は大福の日なの?

2と9の語呂合わせ、と言われれば「肉だ!」とお考えの方も多いかもしれません。残念ながら違います。日付の2を「ふ」、9を「く」と読むことで大福の「ふく」。総合食品商社の株式会社日本アクセスが制定しました。和菓子の代表ともいえる「大福」の記念日を制定することで、小売業での和菓子の販売促進が目的なのだそうです。

「午前中でも店が閉まる」とウワサの“四代目松川”

久々の雨が恵みの雨に感じられたとあるお昼前。私は焦りながら阪急高速神戸駅に降り立ちました。「売り切れ次第閉店する」「豆大福は数量限定で、午前中で売り切れることもある」そんな口コミを多数持つ、四代目松川。雨をラッキー!と考えたのは、雨が常連客の足を止めてくれるのではないか…といやらしいことを考えていたから。

果たして間に合うのか…「楠公さん」と地元の人に親しまれる湊川神社の前を横切っててくてく歩きました。とても小さいお店だと聞いていたので見落とさないように気を付けながら…するとビルに窮屈そうに挟まれて四代目松川はありました。

どうでしょう。この店構え。この店構えを見た時、「ああ、本物を作る店だわ」と感じました。京都の老舗和菓子屋さんのようにしっかり存在感を放っていました。

暖簾をくぐって格子戸をあけると、店内は非常に小さく、人が5人も入れば窮屈になりそうです。店内の撮影は控えましたが、趣のあるしつらえに目を奪われそう。「今は豆大福よ!」と出てこられた気さくな奥さんに「豆大福、ありますかっ!?」と鼻息荒く尋ねました。

ありました…ホッ。数量限定の豆大福は、単体での扱いはなく6個入りでの販売のみです。お話を伺うと、もともとは東京の田園調布で店を構えていたのですが、人気が出過ぎてこちらにきたのだとか。毎日行列が絶えなくてご近所にも迷惑をかけるほどだったそう。東京の人たちに愛されていたお店だったのですね。

これはますます楽しみです。ズッシリ重い豆大福6個を手にお店を出ると雨はやんでいました。

職人泣かせの手間数がかかった四代目松川の“豆大福”

包みを開けてみると重厚な文字がお目見えしました。こちらの豆大福は有名な丹波黒豆と丹波大納言を使っています。丹波の黒豆といえば全国的に有名ですよね。四代目松川は丹波の黒豆だけにこだわり、丹波大納言餡と国産餅米の杵つき餅で作るという手のかかりよう!数量限定の理由が分かります。

ではいただいてみましょう…

お茶を淹れていただきまーす!おお~幸せの塊が六つ詰まってる~!!という眺めの箱から一個取り出すとそのあまりの柔らかさに形が崩れてしまいそうですがしっかりしています。読んでくださっている皆さんに、この杵つき餅がどれだけもちもちしているかお伝えするために、無作法ですが伸ばしてみます。ご覧あれ!

かなり伸びます。とってもモチモチしていて鮮度の高さが分かります。そして中身ですが粒あんがぎっしり入っています。粒あんと言ってもほどよい粒加減です。そして大ぶりな丹波の黒豆が5粒ほど詰まっていました。

素材の味を生かした大人のための豆大福

下の写真の左端にあるのが黒豆です。やっぱり大きいなあ~!黒豆は余計な甘さなどはなく、豆本来の味が楽しめます。餡も控えめな甘さ。黒豆と一緒に食べるとまたもう一つの味がします。素材の味が生かそうという職人の心意気が伝わってきます。ジャンクフードや甘い洋菓子になれている人の舌には物足りなく感じるかもしれません。

そう、この大福は本物を知っている大人のための豆大福、と言っていいと思います。

お店の人にいちばんおいしい食べ方も聞いてみました。何もせず、そのまま、その日のうちに食べるのが最高に美味しいとのこと。なんていったって、つき立てのお餅に包まれているのですからね、鮮度が違います。愚問でございましたわね。

本物を本物として食べてほしいー。そんな思いを込めて作られた四代目松川の豆大福は大人のための大福です。本物を食べてみたいというあなたにおススメします。なお、お取り置きなどは一切していません。行くなら雨の日の午前中がゲットしやすいでしょう!