首都ワシントンで、今、話題の「ヒミツ」。予約を受け付けず、4人以上の団体も受け付けない、24席の小さな店だ。しかし、フードメディアの「イーター」は、同店を2017年の「全米ベスト新レストラン12店」の1店に選び、かのワシントン・ポスト紙も「2017年のトップ10」リストの中のナンバー3に選んでいる。

酸味やハーブを駆使

同店の料理は、日本食にして日本食にあらず。オーナシェフのケヴィン・ティエン氏が「ニュー・ジャパニーズ」と呼ぶ通り、ラテンと東南アジア、韓国のフレーバーを加え、酸味やハーブを駆使して、伝統的な日本食にパンチを利かせている。

「モモフク」や「ノブ」などで修業を積み、29歳で同店のオープンにこぎ着けたティエン氏は、首都ワシントンには伝統的な寿司の店は多いが、もっと冒険的で進歩的な料理を志したかったと言う。そのもくろみは、高く評価され、数々のメディアに取り上げられている。

ナスの田楽など、野菜料理も、ナッツ類やコリアンダー、バジルなどのハーブをふんだんに使って新鮮なニュー・ジャパニーズ料理に

たとえば「ウニのトースト(ブリオッシュにアラバマ・ホワイトソースであえたウニとキャビアをのせたもの)」(12$)や、「ハマチ・オレンジ(ハマチにオリジナルのフィッシュソース・ヴィネグレット、タイ風チリ、オレンジ、トビコをのせたもの)」(16$)、「ヒミツ・ゼン(ブリ、コリアンダー、ユズコショウ、シャロットとアボカドを巻いた巻き寿司)」(11$)など。

人気の日本食に香り高いフレーバーを吹き込んだ新鮮な感覚が、人気を呼んでいる。

品数の少ない少数精鋭主義

べジタリアンやベーガン、グルテンや乳製品などの食物アレルギーなど客の個人的なリクエストに臨機応変に応じられるのも、小回りの利く小さな場所の強みだ。

ハマチの刺し身に、フィッシュソース・ヴィネグレット、タイ風チリ、オレンジ、トビコをあえた「ハマチ+オレンジ」

また、メニューは、スナック、にぎり、刺し身、ロー(生)プレート、ホットプレートなど総勢十数点から成り、品数の少ない少数精鋭主義だが、共同経営者でビバレッジ・ディレクターのカーリー・スタイナーが飲み物を担当し、ドリンク類は豊富だ。

充実したバーのおかげで、食事だけでなく、飲む場所としても人気が高く、いろいろな楽しみ方ができる場所となっている。

にぎり寿司も、ハウスソースや、チリやジンジャー、ユズなどでオリジナルに

●人気料理
◎ハマチ・オレンジ(ハマチ、フィッシュソース・ヴィネグレット、タイ風チリ、オレンジ、トビコ)16$
◎ナス・デンガク(焼きナスに、ユズ味噌チリ・ビネグレット、ごま、カボチャの種の甘露煮、ネギをのせたもの)14$
◎唐揚げ(もも肉のバターミルク・フライドチキン、コチュジャンのグレーズ。※ベジタリアンには豆腐を代用)18$
◎アカミ(メバチマグロ、ショウガとネギ、シャロットのにぎり寿司2貫)9$

バーが充実。ドリンク類のメニューは豊富だ。24席のこじんまりした店内
◆店舗情報
ヒミツ(Himitsu)
所在地=828 Upshur St. NW Washington DC

◇外食レストラン新聞の2018年1月1日号の記事を転載しました。