札幌市・JR新札幌駅前に立地する「炭火焼肉やなぎ家」は、「焼肉&ステーキ」を掲げる鉄板焼き併設の焼肉店として2016年8月に開業。同じ店で牛肉の別々の魅力を味わえると、接待客やカップル客から人気を集めている。だが、ステーキの導入は売上げアップよりも、鉄板焼きカウンターで向き合う客とのコミュニケーションが目的。素材や料理への熱意をアピールしながら、客の要望を聞き取るなど、情報交換に注力している。

肉の持ち味生かす塩味が人気

店内は、焼肉ロースター12卓(62席)、鉄板焼きカウンター4卓(8席)に分かれており、焼肉客が多い時は、鉄板焼きカウンターに七輪を置いて焼肉を提供している。逆に「鉄板焼きで焼肉を食べたい」という客も多く、焼肉メニューのカルビ・ロース・ホルモンなどを鉄板焼きカウンターで普通に提供している。

お客の要望を鉄板焼きカウンターで収集する高柳店主

高柳卓店主は「肉汁を封じ込める鉄板焼きはジューシーな味わいが決め手。肉の持ち味を追求する調理なので、下味は塩・コショウのみ。焼き上げた後、お客さまが好みで調味します。焼肉メニューを焼く場合も同じです」と語り、「最近は肉の持ち味を求める傾向が強まっているせいか、焼肉メニューでも塩味が人気。注文比率は、もみダレ6割に対し塩4割くらい。焼肉屋としては少々寂しいのですが」と苦笑う。

鉄板焼きカウンターでお客さまとコミュニケーション

高柳店主は「札幌プリンスホテル」でフレンチ2年、鉄板焼きステーキ2年の調理経験を経て、体調を崩した父親の焼肉店を継承。個人店経営のイロハを学んだ後、現在の店を独自に立ち上げた。鉄板焼きカウンターの導入には、ステーキと焼肉の両方を経験した上での牛肉に対する強い思い入れがある。

上カルビ、牛サガリ、六白黒豚、鶏肉、生ラムを塩・コショウの下味調味で焼いて提供

「焼肉のメジャー化に比べ、鉄板焼きステーキの経験者が少ないのは、相場1~2万円の高値が原因。同じ牛肉を焼く料理でも、味の魅力は異次元。牛肉を扱う料理人としては、ぜひとも食べ比べてほしい」(高柳店主)と語り、「鉄板焼きカウンターはお客さまと料理人のコミュニケーションが醍醐味(だいごみ)。料理人にとっては、灯台下暗しを実感するような生の声が聞き取れ、改善の勉強になります」と説く。

【店舗情報】
「炭火焼肉やなぎ家 新さっぽろ店」
経営=(株)コーポレーション
店舗所在地=北海道札幌市厚別区厚別中央2条5丁目2-30 新さっぽろジェムシティ1階
開業=2016年4月
営業時間=11時~15時、16時~翌1時。無休
平均単価=焼肉4200円、鉄板焼き8000円
1日平均集客数=50~120人

◇外食レストラン新聞の2018年1月1日号の記事を転載しました。