2016年12月のオープン以来1年で客数が倍増している焼肉店が名古屋にある。「A5焼肉&手打ち冷麺 二郎」だ。立地は名古屋駅から徒歩5分ほど。だが、公営市場の隣接地で午前中は活気があるが、午後は人通りが減り、飲食店にとっては鬼門ともいわれる立地でのことだ。その繁盛の理由の一つに「ステーキ」がある。

盛り付けは素材を生かしシンプルに

「A5焼肉&手打ち冷麺 二郎」の店内はジャズが流れる落ち着いた空間。一見しゃれたバル風で、焼肉店らしくない雰囲気だ。客層は20代後半から30代の女性が8割を占める。

シンプルかつガツンとインパクトがあるステーキは女性のフォトジェニックニーズにマッチ。「熟成サーロイン」(120g=3,500円)、「シャトーブリアン」(120g=3,600円)、「A5赤身」(120g=2,500円)。価格は税抜き

その女性たちのSNSによる口コミで広まったのが、「二郎」の繁盛の理由だ。「お客さまの多くが写真を撮られます。こちらも意識して提供しますが、派手にやりすぎると対応できなくなるので盛り付けは彩り良くシンプルに。そして素材の牛肉の良さがアピールできることを心掛けています」と中島宏介店長。女性客のフォトジェニックな要求にマッチしたのが、ステーキだ。

ステーキの食べ方は焼肉スタイル。厚切りの牛肉をシンプルな味付けのままで、お好みのタレで食べる

ステーキといっても厳密に言えば少し違う。牛肉を厚切りで提供し、お客さまが自分で焼いて食べるという焼肉スタイルだ。だが、牛肉の塊の立体感、塩・コショウのみのシンプルな味付けは牛肉の色合いがそのまま生きる。

精肉店からスタートした同店は一流の目利きが選んだA5和牛のみを取り扱う

それを焼肉スタイルで食べるため、自分好みの焼き加減で、常に熱々で食べられ、かつ友人などとシェアもできると、焼肉女子の胃袋とフォトジェニックのニーズをがっちりととらえ、口コミで広がっていった。

エレベーターの扉が明くと目の前に熟成ケース

また、同店はワインも充実。赤をメーンに白、泡と29種類が揃っており、すべてフルボトル2900円のお値打ち価格。肉とワインのマリアージュも人気の一因だ。

焼肉店らしくないラグジュアリーな空間。取材日は平日だったが17時のオープンからすでに予約で埋まっているという

▼店舗情報
「A5焼肉&手打ち冷麺 二郎」
経営=田中屋フードサービス
店舗所在地=名古屋市中村区名駅4-14-10 柳橋Food Market3階
開店日=2016年12月9日
営業時間=11時~14時、17時~翌0時。不定休
坪数・席数=40坪・62席(14卓)
平均客単価=昼1000円、夜7000円

◇外食レストラン新聞の2018年1月1日号の記事を転載しました。