今年の一皿に「鶏むね肉料理」 高タンパク・低脂肪に注目
ぐるなび総研は4日、「2017年 今年の一皿」に「鶏むね肉料理」を選定した。日本では一般的に「もも肉」が好まれるが、高齢化や健康志向の高まりから「むね肉」の高タンパク・低脂肪の特性に注目が集まった。「むね肉」は、加熱すると硬くなりパサつくという問題があるが、塩麹に漬ける・真空低温調理などの調理技術によって問題を解消。17年は主食サラダの具材として活用されるなど、需要が広まったことが評価された。
同日、東京都内のホテルで行われた授賞式では食鳥出荷羽数日本一の鹿児島県から三反園訓知事、今年から鹿児島県産の黒牛、黒豚に続く第三の黒として「黒さつま鶏」の生産を開始したナンチク・北野良夫専務の2人が代表して登壇。
三反園知事は「9月の全国和牛能力共進会で、鹿児島黒牛が日本一に輝いた。18年は、明治維新150周年を記念してイベントを開催する。世界の方々に鶏むね肉、黒牛を食べていただいて疲労回復、元気もりもりになってほしい。輸出にも力を入れていく」と喜びを語った。
北野専務は「7月から『黒さつま鶏』の販売を開始した。精肉のみで売るのは限界があるため、むね肉で生ハムを製造しているが、原料が足りない状況。現在、鹿児島県下の『黒さつま鶏』の飼養羽数は21万羽、県の目標40万羽を超えたい」と意欲を語った。
記念のトークセッションでは、日本食鳥協会・佐藤実会長が「鶏むね肉人気は2、3年前から高まっていて、今年ブレークした。店頭価格は3年前の3倍になっているが、それでも他の畜産物より割安。今後、加工品の需要も増えるだろう。外食でも、鶏むね肉のすき焼きなどお薦めだ」と語った。
東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長は「渡り鳥はなぜ休みなく長距離を飛び続けることができるのか、という研究で鶏むね肉にはイミダゾールジペプチドが豊富に含まれていることが分かった。この物質は疲労感ではなく、疲労を取ることが客観データで証明され、アンチエイジングにも有効だ。加熱しても大丈夫で、1日100gの鶏むね肉を食べるだけで効果がある」と医学的見地からも効果を解説した。
また、準大賞に「強炭酸ドリンク」、急上昇ワード賞に「チーズタッカルビ」が選出された。他に「日本茶スイーツ」「フォトジェニックサンドイッチ」「Neo日本酒」がノミネートされた。
「今年の一皿」は、ぐるなびのビッグデータからぐるなび会員のアンケート、メディア各社の審査を元にその年の世相を反映し象徴する「食」を選定し、食文化として人々の記憶に残すことを目的に14年から開始されたもの。これまで、「ジビエ料理」「おにぎらず」「パクチー料理」が選定されている。
◇日本食糧新聞の2017年12月6日号の記事を転載しました。
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