「アルク」「マルキュウ」など90店を展開する(株)丸久は、山口県防府市に本社を置く地域密着の食品スーパー。地産地消や食育活動に注力するなど地元スーパーならではのコミュニケーションを展開している。とりわけ惣菜部は、山口県の行政や催事とタイアップした企画商品開発に積極的で、健康訴求かつ価格度外視の力作が多い。山口県民の活力を演出する自慢の逸品を紹介する。

【自家製さば味噌弁当】自慢の味噌だれは最後の一滴まで味わうべし

「自家製さば味噌弁当」 398円(税込み429円)  熱量661kcal 食塩相当量2.9g

売れ筋20年以上の看板弁当。サバ味噌は2枚合わせて110gのボリューム。味噌だれのうま味とコクも抜群。試作を重ねてたどり着いた独自の味噌だれを使っており、他ではまねできない県民好みの味を誇る。

副菜の「けんちょう煮」は、大根、ニンジン、豆腐を炒り煮にした山口県の郷土料理。サバ味噌を支える「かき揚げ」は、サバ味噌の立体感を演出する縁の下の力持ち。たれ落ちた味噌を受け止め、最後の一滴まで無駄にしない姿がけなげだ。

【食べトレ弁当】購入者全員の体育意識を啓発するスポ弁

「がんばれ!!やまぐち応援プロジェクト 食べトレ弁当(ジャンバラヤとカラフルおかず弁当)管理栄養士柴田さやか先生監修」 420円(税込み453円)  熱量933kcal 食塩相当量4.1g

管理栄養士の指導下、スポーツシーズンの5~8月に月替わり料理で販売するアスリートのためのお弁当。スポーツチーム・団体からの仕出し予約も受注しており、1パック販売につき2円が山口県体育協会に寄付される。

もちろんスポーツをしない人も購入できるが、ボリューム満点なので、食べると「運動しなくては」という気分になる。結果的に購入者全員がスポーツ意識を共有できる奥深い商品設計だ。

【元気っちゃ減塩弁当(洋風)】デパ地下ばりの内容で塩分3g以下

「元気っちゃ減塩弁当(洋風)」 420円(税込み453円)  熱量550.6kcal 食塩相当量1.8g

山口県の「元気っちゃ!やまぐち減塩ライフ」の趣旨に賛同して減塩弁当の開発をスタート。3年前から年に約3カ月間、塩分3g以下の減塩弁当を4品提供している。質素な見た目になりがちな減塩弁当だが「食べたい弁当がたまたま減塩弁当だった」という商品化を心掛けている。

本品のメーンは「ロールキャベツの豆乳ソース」。周囲にはカラフル野菜がたっぷり。デパ地下ばりの内容と見栄えだが、価格はたったの420円。同社いわく「598円で売りたい」のが本音だそうだ。

【新米をおいしく食べるお弁当】塩不使用でコメのおいしさを知ってほしい

「新米をおいしく食べるお弁当」 380円(税込み410円)  熱量466kcal 食塩相当量2g

新米時期10月限定のおむすび弁当。新米のおいしさと甘みを訴求するため、塩は不使用。年に一度「おコメの大切さを知ってほしい」という思いを込めている。同社店内製造の弁当のコメはすべて山口県産。

毎年田植えや稲刈りの時期には、社員が実際におコメ作りを体験し、地場農産の苦労や誇り、喜びを分かち合えるよう努めている。おかずはシンプルだが一品一品の完成度が高く、竹皮を模した包材もベストマッチ。基本の大切さを再認識させられる秀作だ。

【500kcal以下のバランス栄養士弁当】栄養バランスだけでなく家計バランスにも貢献

「500kcal以下のバランス栄養士弁当」 380円(税込み410円) 熱量437kcal 食塩相当量2.2g

約10年前から提供しているロングセラー。九つ仕切り容器で調理作業が面倒だが、「健康的に毎日食べられる」ことをコンセプトに料理構成は日替わり。その思いと苦労が支持されている。カロリーや栄養バランスを考慮して、定期的に改廃することでファンを飽きさせない努力を行っている。

500kcal以下もすごいが、この内容で本体価格400円以下はもっとすごい。栄養バランスだけでなく家計バランスにも貢献しそうな逸品だ。

<商品開発のポイント!>

企画商品は念入りなコンセプト作りから 惣菜部バイヤー粟屋拓也さん

企画商品はとかくインパクトを重要視されがちですが、最初のコンセプト作りをしっかりしておかないと必ず企画倒れになります。具体的に「野菜量は○g以上」とか「この食材にこだわったメニュー構成」などお客さまに分かりやすい商品化に努めています。

◆店舗情報
(株)丸久
本社所在地=山口県防府市大字江泊1936番地

◇外食レストラン新聞の2017年11月6日号の記事を転載しました。