「逆転の発想」はオーソドックスな料理をインパクトあるアイデア料理に変身させる手法の一つ。そのお手本とも言うべきヒットメニューが「東京MEAT酒場」の「のっけ麺 日本一おいしいミートソース」だ。商品名の通りミートソースの上に麺を“のっけ”た見た目は遊び心いっぱい。だがそこに商品への強いこだわりが込められているからこそ、そうした提供法が客の感動につながる演出となるのだ。

日本人が好む麺の食感を追求して5年、理想のパスタ麺に

「麺にこだわっていますので、まずは麺だけで味わってください」というスタッフの一言とともに提供される同品。皿に盛られている料理は一見するとパスタ麺しか見当たらない。そして言われた通り麺だけを口にすると豊かな小麦の風味と太麺ならではのガッツリした歯応えがクセになり、そのまま2口目3口目とソースを絡めずに食べ進めてしまう。

「日本人が好む麺の食感は、のど越し、噛み応え、小麦の香りの三つ。これを追求して5年間。ようやく理想のパスタ麺が完成しました。このパスタ麺のおいしさを強調するために考えたのがソースの上に麺を盛り付ける演出法なのです」とイタリアンイノベーションクッチーナの四家公明社長は語る。

麺の下に潜むミートソースにも抜かりはない。麺225gに対して70gを使用するが、うち6割を牛肉が占める。店内で粗く手切りすることで肉を食べる満足感をしっかりと打ち出している。

のっけ麺日本一おいしいミートソース 950円(税込)まっさらな麺に箸を入れると下から濃厚なミートソースが登場。店内に貼られた「すぐ混ぜ禁止!」の張り紙も笑いをそそる

途中からトマトスープパスタに変身が可能

パスタは食事の最後の締めメニューという位置付けが一般的だが、同店では早々に注文してアルコールとともに楽しむスタイルが定着。中には酒を注文せずに同品だけ食べて帰る客もいるほどで、オーダー率は実に8割を超える。

さらには麺の替え玉があったり、途中からトマトスープパスタに変身が可能な割りトマトスープがあるなど、食べ方のバリエーションが多彩なところも見逃せない。

「今後はカルボナーラソースなどのっけ麺のバリエーションを増やしていきたい」と四家社長は新たな商品開発に意欲を見せている。

●店舗情報
「東京MEAT酒場 吉祥寺店」 経営=イタリアンイノベーションクッチーナ/店舗所在地=東京都武蔵野市吉祥寺南町1-5-3 吉祥寺ピアットビル2階/開業=2017年1月/午後5時~翌午前0時(LO11時)、土 午前11時30分~翌午前0時(LO午後11時30分)、日・祝 午前11時30分~午後11時(LO10時30分)、無休/坪数・席数=30坪・60席/1日平均客数=110人/平均客単価=2800円

◇外食レストラン新聞の2017年4月3日号の記事を転載しました。