中央ヨーロッパ・ハンガリーの首都ブダペスト在住のフードライター旅野きっこです。ヨーロッパ各地へ出かけ、美味しいその地のグルメとお酒を堪能する日々を送っています。
さて、季節は美しい秋となりますが、ヨーロッパでもこの時期、美味しいものがたくさん出回ります。ジビエ料理の一つである美味しい「鴨」を、日本の食卓でも楽しみましょう。

ヨーロッパの秋を彩るジビエ料理

「鴨」と聞いて日本で連想するのは、「鴨南蛮」ではないでしょうか。もちろんヨーロッパで楽しめる様なグリルやローストもありますが、イメージとしてはちょっと非日常を演出してくれるビストロのメニューという感じで日常食ではありませんね。

しかしヨーロッパでは、庶民の台所であるマーケットに売られていたり、レストランにもほぼ必ず用意されていたりして、気軽に食べることができるのです。

そんな鴨は赤身の肉で、女性の美や健康にも良いとされ、他の肉に比べて栄養価も高いとされています。特にハンガリーでは、牛肉の出番が日本の様に高くないので、日常的には豚か鶏、そして時々鴨、といった様な食事のルーティーンがあります。

調理に時間がかかるかと思いきやそうでも無く、割に手軽に美味しい鴨料理を楽しめます。またお肉の味も美味しいので、ヨーロッパ在住日本人にも現地人にも「鴨が好き」という人が多いのです。

鴨胸肉のロースト 赤ワインとバルサミコ酢のソース

ちょっと非日常、そしてやみつきになる美味しさの鴨。食卓で楽しむためには様々な工程がありますが、新鮮な鴨肉を手に入れてしまえば簡単です。今回は調理しやすい胸肉のローストを試してみましょう。オレンジソースで調理されるパターンが多いのですが、今回は赤ワインとバルサミコ酢のソースで大人っぽく。

<材料>
鴨胸肉
赤ワイン
バルサミコ酢
蜂蜜
(調味料は回しかけ程度で良いが、大体同量程度で蜂蜜はそれほど多すぎず)

<作り方>

  1. 鴨胸肉の皮目に格子状の切り込みを入れます。
  2. 塩胡椒を鴨胸肉全体にまぶし、大きめの食品保存用袋(ストックバッグ)に鴨を丸ごと入れます。
  3. 鴨胸肉を入れた食品保存用袋(ストックバッグ)に赤ワイン、醤油、バルサミコ酢、蜂蜜を適当に入れ、全体に回るよう手で揉み、馴染ませながら冷蔵庫で数時間~半日ほど寝かせます。
  4. 寝かせた鴨肉を焼きます。フライパンに油は敷かず、鴨肉の皮目を下にして漬け汁と共に3分~5分程、出てくる脂をキッチンペーパーで吸い取りながら弱火~弱めの中火で焼きます(レアが好きなら3分、ミディアムなら5分程)。
  5. 焼きあがったら火からおろし、ホイルに鴨肉を包んでしばらく放置し蒸し焼きにします。少し冷めたらナイフで食べやすい厚さにカットし、タッパーに火を入れた漬け汁と共に鴨肉を入れ、味を馴染ませて完成。

アレンジで、おもてなし料理にも

この鴨のローストは、付け合わせやソースも臨機応変に好みに応じて楽しめるのです。浸け置きに多少の時間がかかるものの、10分程の調理時間でいつもと違うちょっとお洒落な料理が完成し、充分におもてなし料理にもなるのです。

先に挙げたオレンジソースの場合は、漬け汁をオレンジジュースにします。焼きあがった鴨の肉汁にその漬け汁と白ワインを加えれば、また爽やかなローストが楽しめます。

筆者は、ベリーのソースやチョコレートソースなんていうものも体験しました。付け合わせも様々で、小さめのポテトコロッケやビーツ、チコリなど野菜をグリルしたものなどがありました。

マッシュポテトの上にリゾットを敷いて、上に鴨を乗せるもの、リンゴを煮たソースなど、お店によって色々と興味深くアレンジされ、どれも大変美味しいものでした。洋風料理ですが、醤油をひとかけした野菜のグリルも良く合います。

その日の気分や好みに応じて、素敵なプレートとなる「鴨」。秋のおもてなしの食卓へ、そして、いつもと違う楽しさを味わうにはうってつけの料理です。是非この機会に、「美味しくてお洒落な鴨料理」をお楽しみ下さい。