初めまして、長崎県松浦市在住のたべぷろ編集部員・tonです。ホテル勤務で培った、平戸市の食について詳しい情報をお届けします。長崎県のお菓子といえばカステラを連想されるのではないでしょうか。たしかに、長崎にはカステラのお店が多く存在しますが、それは長崎市のお話です。長崎市より公共機関にて4時間ほど離れている平戸市では、そんなカステラは遠い存在です。平戸では「カスドース」というカステラを進化させたお菓子がお土産の定番となっております。

カスドースはカステラとどう違う?

このカスドース、実は400年以上の歴史を持つのです。平戸藩主・松浦(まつら)家一族のみが食することを許されていたカスドースの味と魅力を知ると、あなたもお姫さま気分になれるかもしれませんよ。

カスドースとは、味と食感でいえばカステラよりも甘く、スポンジを濡らしたようにしっとりしたお菓子です。製法としては、たっぷりの卵で衣をつけ、ハチミツにくぐらせ、最後に大粒ザラメをまぶします。江戸時代、砂糖の価値が現代よりも高かったので、高級お菓子として名は広がり、かつ流通を平戸藩内に留めていました。

最近では長崎県佐世保市のお土産屋「でばた」さんでも販売、他にもネット販売されるようになりましたが、それでも平戸市内を流通の要としています。

だから、長崎空港や長崎市内ではまず見かけないのです。カスドースの認知度の低さは、そこに理由があるのです。また、口内で一時間ほど味が残るくらい甘いので、甘党の方でもなかなか試食に至らないのが現状です。

そんなに甘いお菓子、食べられるの?

結論から申し上げられますと、カスドースそのものだけをいただくのは、前述のとおり甘党の方でさえ難しいでしょう。デザートには向いていない甘さだからです。ですが、ある飲み物を用意すれば、カスドースの甘みが病みつきになります。カスドースの食し方をご紹介しましょう。

現代ではコーヒーと一緒にいただくのが主流になっており、写真の老舗菓子店ではコーヒーコーナーを設けているほどです。そもそもカスドースの歴史はポルトガルより製法を伝授したことから始まります。早くも西洋文化を取り入れていたので、当時の平戸藩にとって、コーヒーは当たり前の存在でした。

ですが、松浦家一族はあえてカスドースをお茶菓子として用いることにしました。そうです、カスドースは抹茶、コーヒーと比較的苦い飲み物と相性が良いのです。口内で甘みと苦みが調和して、ほどよい甘さになるので格段にいただきやすくなるのです。

いただくお菓子がもし「長崎県」のカステラであれば、苦い飲み物に負けてしまって甘みが足りなくなります。

カスドースとコーヒーでお姫さま気分を

あなたも平戸にお越しの際、ぜひカスドースとコーヒーでお姫さま気分を味わってみてはいかがでしょうか? 濃厚な卵と砂糖の味が口内で溢れることでしょう。

写真のカスドースは創業1502年の「蔦屋」按針の館にて。蔦屋さんのカスドースは平戸市内のお土産屋さん各店にて販売しております。価格は2個入り税込388円、5個入り税込972円、10個入り1944円と一般のカステラと比べると少々お高めです。この価格と黒い箱に金色のロゴでお姫さま気分を味わえることでしょう。

ちなみにこちらの写真は2個入りの箱です。また、カスドースに敷いているハンカチは「ステンドハンカチ」といって、教会の多い平戸をイメージした平戸のお土産雑貨の一つです。これを敷いていただくと、より一層濃厚な味を楽しめます(体験談)。

ただし、このハンカチは蔦屋さんでは販売しておりません。お土産屋さん各店にて販売しております。