楽薬食膳代表の渚月順子です。まだまだムシムシしていて食欲が落ちたり、夜よく眠れずに朝からスッキリしない…そんな状態が続いていませんか? 日によっては昼と夜の温度の差もでてきました。体力が落ちたままでいると、季節の変わり目に体調不良や風邪を引いたりしかねません。ここで、体力回復させて元気に秋を過ごしたいですね!
「参鶏湯」をおうちで簡単に!冬をイメージしがちですが、夏場の疲労回復にもピッタリですよ。薬膳のちょっとしたポイントを知って元気に過ごしましょう。

参鶏湯は万能の薬膳料理

参鶏湯とは韓国料理の一つで、鶏肉と高麗人参、棗、ファンギなどの漢方と、もち米、くるみ、松の実、ニンニクなどを入れて煮込んだものです。参鶏湯に入っている高麗人参には心臓機能を強化する働きがあり、またニンニクには強壮剤の役目があり、栗と棗は胃を保護し、貧血を予防する働きがあります。

風邪予防、食欲不振、新陳代謝、疲労回復、コラーゲン摂取などがひとつの鍋でできる万能な薬膳料理です。

参鶏湯に使う生薬と効能

大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実を乾燥したもの
漢方的には、健脾、鎮静などの効能があり、食欲不振、下痢、不安感、興奮などに用いられています。

甘草:マメ科のウラルカンゾウやスペインカンゾウの根などを乾燥したもの
健胃、鎮痛、鎮痙、去痰などの効能があり、腹痛、下痢、動悸、腫れ物などに用いられています。また、数多くの漢方処方に配合され、他の薬物の効能を高めたり、毒性を緩和する効果があります。

川芎(センキュウ):セリ科のセンキュウの根茎を乾燥したもの
漢方的には、活血、止痛などの効能があり、貧血、月経不順、月経痛、冷え性、頭痛、筋肉痛などに用いられています。

ギバナオウギ:オウギ(黄耆)は、マメ科のナイモウオウギまたはキバナオウギの根を乾燥したもの
漢方的には強壮、止汗、利水、排膿などの効能があり、代表的な補気強壮薬(胃腸系を強めて気を補い、体全体の強壮をはかる薬)のひとつとして用いられています。

五加皮(エゾウコギ)
血行改善、代謝促進、免疫機能向上、酸化防止、老化防止、疲労回復、不眠症、ストレス、冷え性、更年期障害、身体のバランスを取る生薬です。「冷え」は美容の大敵です。

参鶏湯の作り方

<材料(4~5人分)>
ひな鳥(丸どり) 1羽(1kg前後)
参鶏湯用漢方材料 1パック
高麗人参 10g
乾燥ナツメ 5個
クコの実 大さじ1
にんにく 1~2かけ
生姜 1~2かけ
長ネギ 1本
栗 5個
松の実 大さじ1
銀杏 10個
もち米 1.5~2カップ
青ネギ 適量

<作り方>

  1. もち米は、30分ほど水に浸したあと水気を切っておきます。
  2. 漢方の材料と人参はサッと洗っておきます。
  3. 鶏肉の腹の中と外側をよく洗い、キッチンペーパーで水気をよく拭き取ります。
  4. 鶏肉の腹の中にもち米を入れて、竹串か爪楊枝で閉じます。
  5. 深めの鍋に鶏肉がかぶる位の水を入れて、その他の漢方材料等すべて入れて強火にかけます。
  6. 沸騰したら、アクを取り、弱火にし、スープが白くなるまで3~4時間煮込みます。(最低でも2時間)
  7. 水が少なくなったら足しながら煮込みます。
  8. 出来上がったら鶏肉を取り分けて刻み青ネギを盛り、好みで塩こしょうを振っていただきます。

次回は、空気の乾燥による肌荒れ、髪のパサつきを解消する薬膳です。カサカサ肌では秋を楽しめません。食事で潤うポイントをお伝えします!