水産練り製品大手のカネテツデリカフーズ(兵庫県神戸市)と女子栄養大学(本部=東京都豊島区)は、“健康”“魚食”をテーマとしたメニュー型商品の開発・提供を行うことで合意し、2月23日に女子栄養大学駒込キャンパスで協定の調印式を行った。カネテツとして初の産学連携包括協力に関する協定締結となる。調印式後に共同開発商品の発表も行い、水産惣菜という同社の新たな商品戦略を印象付けた。

こだわりの魚メニューが手軽に作れる調理素材セット

村上健カネテツデリカフーズ社長は調印の場で「昨年創業90周年を迎えた当社は長年、水産練り製品の製販を生業としてきた。だがここ数年の食シーンの目まぐるしい変化から、練り製品単体での商品提案に限界を感じている。新しい形でのシーフードの提供が急務と考えた」と包括協力の背景を語った。

若年層の魚離れや調理時間の短縮化などを受け、魚食文化の存続には新たなアプローチが不可欠との認識。女子栄養大とは個別案件ですでに共同開発の実績があり、包括協力へ歩を進めた。

その他の協力事項として、カネテツ本社工場の社員食堂の改革を盛り込んだ。村上社長は「工場勤務者には単身者も多く、彼らの健康を栄養面で支えるため食堂の大改革が必須だ。総合的に社員の健康を管理するメニュー監修などで指導をいただく」と健康経営の視点を強調した。

香川明夫学長は「食のあり方は大きく変わり、健康寿命の延伸や企業の健康経営が大きな課題。同社との連携で、これら課題への対応を通して社会貢献できる」と力を込めた。

同日発表した新商品は、こだわりの魚メニューが手軽に作れる調理素材セット「豆味噌で食べる鮭のちゃんちゃん焼」「鱈を使ったハッシュポテトのBBQ炒め」「金ごま香る海老とカレイの中華風炒め」「豆乳で味わう赤魚のトマトクリーム煮」の4品=写真=。3月1日発売、参考税抜き価格398円。

いずれも30~40代の主婦をターゲットとし、若年世代の魚食推進と量販店水産売場の活性化を図る狙い。カット野菜を使えば、包丁いらずで短時間調理が可能なレシピを女子栄養大の学生と開発した。魚が苦手な人や子どもにも食べやすい味付けも特徴。量販バイヤーの評価も高く、売場での販促ツールなどで盛り立てていく。

調印式後に握手する香川明夫学長(左)と村上健社長

◇日本食糧新聞の2017年3月1日号の記事を転載しました。