中央ヨーロッパに位置するハンガリーの首都・ブダペスト在住のフードライター・旅野きっこです。10年以上この地に滞在し、おいしいグルメをお酒と共に楽しみながら暮らしています。ヨーロッパにはさまざまなおいしいものがありますが、日本よりも多くの料理に多用されているものの1つにオイルが挙げられます。8月23日は油の日。サラダ油やオリーブオイル、ごま油しかなじみのない方も多そうですが、この機会に「油」を見直してみましょう。

ヨーロッパでは日常的に使われるカボチャの種

近年、日本でも食や美容に関心の高い人々の間でさまざまなオイルが摂取されています。話題となったのはココナッツオイルや最近ではアマニ油でしょう。ヨーロッパ南部ではオリーブが多く実り、家庭で手作りされたオリーブオイルがペットボトルに入れて売られており、健康のために飲んだり、料理に使われたりしています。

良質の食材から搾られたオイルは身体に良く、美容やアンチエイジングにとても効果があるとされています。

マカデミアナッツやアボカド、ヘンプシードなどヨーロッパのスーパーに行くとさまざまなオイルが売られていますが、中でもおすすめが「パンプキンシードオイル」。パンプキンシードとはカボチャの種のこと。

ヨーロッパではカボチャの種が日常的に使われ、おやつ代わりにポリポリつまんだり、ハード系のパンに練りこまれていたり、ペーストにして野菜につけたりとさまざまですが、その香ばしい香りと食感が好まれています。

さて、そんなカボチャの種ですが、これがオイルとしてどう使われるのでしょう。

身体によくておいしいパンプキンシードオイル

パンプキンシードオイルは黒と深緑の間のような濃い色をしています。とろっとしていて香ばしいナッツの香りと芳醇なコクがあり、一度使うとおいしくて何にでもかけたくなってしまいます。おいしいオリーブオイルとこのパンプキンシードオイルがあれば、手をかけない料理もあっという間においしい食事に!

生野菜サラダ、温野菜サラダのプレートに塩こしょう、オリーブオイル、バルサミコ酢と共に回しかけ、ドレッシング代わりに自然の調味料としていただくのが最もおすすめな食べ方です。

ヨーロッパのダイニングテーブルには大抵塩こしょう、バルサミコ酢、オリーブオイルが用意されており、個人の好きな量を好きなように使うことが日常ですが、このパンプキンシードオイルもそのように使うのがよいでしょう。パンにももちろんよく合います。

和食でもおいしく摂取

さて、そんなパンプキンシードオイルですが、日本の日常食にもとても合うものがあるのです。

それは豆腐。冷奴はどこの家庭でもよく食べますが、おいしい絹ごし豆腐に塩をかけ、オリーブオイルとこのパンプキンシードオイルと共にいただくのもとてもおいしいのです。お好みでパルメザンチーズをかけるのもおすすめ。いつもと違う洋風冷奴が手軽に楽しめます。

また、ヨーグルトやアイスクリームにかけていただくこともできます。ナッツのような深いコクがこれらを引き立て、とてもおいしいのです。ヨーグルトの場合は蜂蜜、シナモン、好きなフルーツなどと共に最後にオイルをひと回しかけてお試しください。アイスクリームには好きなナッツと共に。

ヨーロッパの夏の風物詩の1つにジェラートがあるのですが、街を歩くといくつものジェラートショップへぶつかります。乾燥している夏のヨーロッパでは、甘くて冷たいジェラートが本当に大人気なのですが、中には貴腐ワイン味やハム・ベーコンを使った変わり種も。ミスマッチを楽しむ食文化でもあるのです。

このように、プラスフレーバーとして楽しめるパンプキンシードオイルは、野菜はもちろん、さまざまなものをよりおいしくしてくれる素敵なオイルなのです。日本ではまだそれほど知られていませんが、ぜひ一度お試しください。きっとお気に入りの調味料のひとつとなるでしょう。