最近、ニューヨーク各地に見られるようになったポケのレストラン。ポケとは、ハワイの料理で、生の魚を、醤油やネギ、ごま油であえたもの。今、ニューヨークでは、ポケ専門店に長い列が並んでいる。ポケがこれほど受けるなら、いつか日本の海鮮丼も出現するに違いないと思っていたら、やはり、アメリカン和風海鮮丼店「チカラシ」が現れた。ロケーションは、チャイナタウン。脂っこい中国料理に飽きた人たちがさっぱりしたヘルシーな“チラシ丼”の数々を食べに、同店を訪れている。

ハワイ「ポケ」と日本「チラシ」のハイブリッド丼

シェフのマイケル・ジョン・リムさんは、ハイエンドの日本食レストラン、「ネタ」や「マサ」でシェフを勤めた後、3人のパートナーとともに同店を立ち上げた。「チカラシ」とは、「ポケ」と「チラシ」を掛け合わせた名前だという。ユニークな“チラシ丼”の数々は、すべてマイケルさんのクリエーション。店のうたい文句にあるように、最高質の新鮮な材料を使い、ファインダイニングの味をリーズナブルな価値で提供している。

さて、その、マイケルさんのクリエーションである、韓国と中国料理の味覚を加えた、日本の伝統のちらしとコンテンポラリーなハワイのポケのハイブリッド丼とは、いったいどんなものなのだろう。例えば、人気の一つ、「コチュジャン・ヒラメ丼」。ヒラメの刺身、ワカメ、キュウリ、ネギにごまを振りかけ、マスタードオイルとコチュジャンであえたものだ。

「四川チリ鮭丼」は、サケ、キュウリ、醤油大根を四川山椒マヨネーズであえ、鰹節とポケに付き物のふりかけを振りかけたもの。一番高価な「焼き大トロ丼」は、表面をサッとあぶった大トロを惜しみなく使い、ショウガ醤油、ネギ、ライムの皮、ガーリックチップ、チリをかけた超豪華版。24$99¢。

「ポン酢鮭丼」(中12$99¢、大14$99¢)

 

「ゴマ醤油マグロ丼」(中13$99¢、大15$99¢)

ご飯の代わりに野菜も ベジタリアン向けメニューも用意

変わった材料としては、アボカド、ガーリックチップ、チリオイルなどが使われ、ご飯の量に比べて、具が多い。同店で使っているコメはコシヒカリ。50¢の追加で、ご飯を、水菜、小松菜などのアジアの野菜とハーブをミックスしたものとかえることもできる。ご飯なしの丼は、アメリカにはあり得るのだ。同店では、3割の客が、野菜を選んでいるそうだ。

またすべての丼に1$50¢の追加でアボカドを付けることもできる。そして、アメリカではベジタリアンも多いことから、同店も例外なく、ベジタリアン向けの焼き豆腐丼を用意している。

「ワサビマヨツナ丼」(中13$99¢、大15$99¢)

 

手抜きなし 最高質の新鮮な食材

ファストカジュアルの店といっても、決して手抜きはしない。食材には気を遣い、冷凍物は一切使わない。魚は、週に4回、築地と博多から空輸されたものを使い、マヨネーズさえもハウスメード。ワサビも、生の本物をおろしたものを使っている。厳選された材料を使って、一つ一つ丁寧に作り上げられている。テークアウト用には生分解性の器を使い、割り箸も高級なものを使っている。

寿司米も寿司桶で混ぜて丁寧に作る

◆人気メニューベスト5
「四川チリ鮭丼」(中12$99¢、大14$99¢)
「ポン酢鮭丼」(中12$99¢、大14$99¢)
「ゴマ醤油マグロ丼」(中13$99¢、大15$99¢)
「コチュジャン・ヒラメ丼」(中13$99¢、大15$99¢)
「焼きトロスシ丼」(19$99¢)

クリーンで明るいインテリア

●事業データ
チカラシ(Chikarashi)/所在地=227 Canal Street New York NY/開業日=2016年7月/営業時間=月~土 午前11時30分~午後9時、日 正午~午後4時/客席数=16席/平均客単価=約15~25$

◇日食外食レストラン新聞の2017年1月2日号の記事を転載しました。