和風ツナの感覚で使える郷土料理「海田さつま」
広島県東広島市在住のたべぷろ編集部員・椛山瑛代です。夫の転勤で広島に来てはや12年。 海の幸と山の幸に恵まれた広島暮らしを楽しんでいます。広島県安芸郡海田町は、隣接している広島市のベットタウンとして栄える町です。江戸時代には西国街道の宿場町でもあった海田町。ここに伝わる郷土料理の「海田さつま」の生い立ちと現状に迫ります。
広島県海田町の「海田さつま」とは
「さつま」とは焼いた魚をすり身にし、みそやごま、ねぎなどを和えて出汁でのばしたもの。それをアツアツのご飯にかけて食べる庶民に愛された家庭の味です。宮崎県の郷土料理である「冷や汁」に似ているともいわれます。
そのルーツは江戸時代の参勤交代にあるのだとか。海田町は江戸時代には西国街道が整備され、大阪と下関を結ぶ宿場の1つとして栄えた町です。薩摩藩の食事を賄うために用意した魚をアレンジしたというのが始まりと言われています。
一般的な作り方
焼いた魚をほぐし、すり鉢にいれしっかりと擦ります。そこへフライパンなどで焼いた味噌と擦りごま、あく抜きをしたこんにゃくを小さく刻んだもの、ネギ、調味料をいれてよく混ぜ合わせます。最後に出汁で程よい固さになるまで伸ばして出来上がり。炊きたてのご飯にのせて食べます。香ばしいみその香りでご飯が何杯でもすすむ味です。
ご飯にのせて食べるだけでなく、料理へのアレンジもしやすい「海田さつま」。和風ツナの感覚で使えます。ぶっかけうどんの具や、ペースト状の豆腐と和えてグラタンにしてもOK。冷凍保存も可能なので、欲しい時に使えます。
郷土料理を次の世代へ
このような歴史的背景をもつ郷土料理。核家族化、魚食の減少など生活スタイルの変化から、実際に町内で作ることも食べられることも少なくなっているのが現状です。
そんな風前のともしび状態の「さつま」。次世代に残そうと研究会が立ち上げられています。研究会では学校への出張講座や地域イベントに出店するなど、郷土料理を伝える取り組みをしてます。その土地に生まれた人たちが食べ繋いできた習慣。大切に残していきたいですね。
いかがでしたか? 広島県に伝わる郷土料理のひとつ「海田さつま」をご紹介しました。時代の流れの中で次々と食の流行が生まれて消えていく今。「時代が変わったから」という理由だけで消えてしまうのも残念なこと。伝えていきたい文化ですね。
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