抹茶はここ数年、海外でアツく注目されています。上品な香りと色の美しさ、そして健康食という観点からも、抹茶は今や世界的なトレンド食材になっています。それも、海外では料理に大胆に活用するケースが増えています。

スーパーフードとして海外セレブに人気の抹茶

メキシコ市に、各国からシェフが修業しに来る「クイントニル」という世界のトップレストランがあるのですが、この店の抹茶を使った「豆と雑穀のサラダ」には、特に感心しました。日本の抹茶は海を渡り、海外のトップシェフたちが好んで使う食材になっているのだな、と改めて感じ入りましたね。

同時に、日本が誇る食材でありながら、実は日本でこそ、まだ抹茶の魅力を活用しきれていない。そう、色も美しく、香りも良い抹茶は、もっと活躍できる実力を秘めた食材なのです。

コラーゲンたっぷりの鶏白湯スープを注ぐと半生の鶏ささみがほんのり温まり、いっそう美味

そこで今回は、抹茶を料理に活用したメニューを提案しましょう。海外セレブの間では、抹茶は健康的なスーパーフードとして人気を博していますが、そのイメージを生かしたヘルシー感のある「抹茶の香りの鶏ひつまぶし」です。

キヌアミックスを混ぜたご飯に、中を半生状に炙って千切りにした鶏ささみとワサビ、大葉、いりゴマをのせ、抹茶パウダーをかけていただきます。

ご飯200gにキヌア20gを混ぜ合わせ、よりヘルシーに仕上げた

海外のレストランでは皿をカンバスにして絵を描くように、ソースやパウダーを芸術的にかける手法がよく見られますが、これにならい、白い器のスペースに抹茶の彩りが映えるよう、茶こしで大胆に抹茶パウダーを振りかけました。

彩り良し、香り良しの優秀調味料

抹茶が香るご飯としてそのまま食べるだけでなく、塩、コショウで味を調えた鶏白湯スープを別に添え、スープをかけてひつまぶし風に食べる楽しみも用意しました。鶏のうま味が染みたスープに抹茶の風雅な香りがふわっと立ち、滋味あふれるお茶漬けとしてしみじみ味わえます。

抹茶パウダーが全体に広がるよう茶こしで振りかける

日本では抹茶というと、和菓子を筆頭にスイーツ、ドリンクに使われる例がほとんどですが、それだけではもったいない! 見方を変えれば抹茶は、彩り良し、香り良し、健康にも良しの、多彩な料理に活用できる優秀調味料といえるわけです。
(飲食店プロデューサー 青島邦彰)

◇外食レストラン新聞の2018年5月7日号の記事を転載しました。