食肉を中心とした食材卸の岡山フードサービスは近年、生産から加工、販売までを一貫して手掛ける「食の6次化」を積極的に推進。同社のレストラン事業は「店舗を実際に運営することで、顧客にリアルな提案ができる」との狙いから、いわばテストキッチンのような役割も担わせている。

このレストラン事業で特に好調なのが、2016年に開業した「ビフテキ重・肉飯 ロマン亭」。ビフテキや牛肉料理を隙間なくぎっしり盛り付けたお重を看板メニューにしている人気店だ。ご飯の上に牛肉をのせるメニューというと牛丼がおなじみだが、同社によると「牛丼は価格帯が低く、牛丼店との競合は難しいと判断した」。

「大坂ビフテキ重」 980円(税込み) フランク(赤身ステーキ)を120g使用。プラス330円で、出汁、サラダ、小鉢などが付いたお膳セットに

そこで発想を変え、価格設定はプチ贅沢感のある1000円前後で、お重にのせる盛り付けを採用した。お重にのせたことで“映え”要素が加わり、「『SNSで見ておいしそうだったから』と来店するお客も多い」という。

上品な見た目とは裏腹に思いのほかボリュームがある点と、価格面のコスパの良さから、当初想定していた以上に女性客の人気を集め、ルクア大阪店の例では女性客が7割を占める。牛丼店に行くのは躊躇する女性一人でも、牛肉を敷き詰めた上品なお重ならさほど抵抗がない、との評判で「女性もやはり、外食でお肉をがっつり食べたいですよ(笑)」と、営業企画室の松岡靖子氏は話す。

 

「ロマン亭錦重」 980円(税込み)さっと炙った牛肉の白焼きと赤身のビフテキの2種類がのった一番人気のメニュー。エキマルシェ大阪店では多い時で日販100食を超える

また、昨秋リニューアルオープンしたエキマルシェ大阪店の取り組みも、なかなか興味深い。店頭に精肉売場を展開しているのだ。飲食店で精肉を販売するというのは不思議な印象だが、「当店は食肉卸企業であり、『プロの料理人にも卸している上質のお肉』という点からも、皆さん、安心感を持って購入してくださいます」(松岡氏)と、好評の様子だ。

●店舗情報
「ビフテキ重・肉飯ロマン亭」
〈エキマルシェ大阪店〉 大阪市北区梅田3-1-1 エキマルシェ大阪内
〈ルクア店〉 大阪市北区梅田3-1-3 LUCUA FOOD HALL地下2階

◇外食レストラン新聞1月号の記事を転載しました。