宮崎郷土料理店をはじめ居酒屋、ファミレス、弁当屋までチキン南蛮を提供する店は多い。そんな中、こぼれんばかりのタルタルソースで一躍、大人気メニューになったのが「でんでんでん」の「チキン南蛮」。「チキン南蛮 都内ベスト5に入る」との呼び声が高い。

同店ではチキン南蛮を開業当初から提供してきたが、当時のタルタルソースの量は通常よりやや多め程度。量が増えるきっかけは常連客のリクエストにあった。

「『持ち帰りたいから容器に詰めてほしい』と言われたんですが、家に帰って開けたら『タルタルソースが全部チキンの下に流れ込んでいた』とのことで…」と語るのは同店の店長を20年以上務め、昨年、前運営会社から店を引き継いでオーナーになった廣瀬智哲店主。

チキン南蛮 1200円(税込み) 鶏肉も1人前約180gとボリューム満点

そこで、時間が経過してもチキンの上にとどまるようにタルタルソースの改良がスタート。それまではマヨネーズ1kgに対して卵12個、玉ネギ250gだったのを卵25個、玉ネギ500gと具材を倍増。具材を多くすることでソースが硬めになり、持ち帰りでもタルタルソースが流れないようになった。

溶き卵を付けて揚げると滑らかな食感に

このマヨネーズ感よりも卵感が強めで食べ応えのあるタルタルが評判になり、「タルタル多め」とリクエストするお客さんが続出。リクエストに応えているうちに、今度はタルタルの量が徐々に多くなり、今では別小鉢で添えている。

これがまたSNSで拡散。チキン南蛮目当ての来客が増え、ランチ時は「チキン南蛮定食」をほぼ9割の人が注文するようになった。

ランチの「チキン南蛮定食」(1300円)には小鉢2品、漬物、味噌汁、麦ご飯が付く

もちろん同店の「チキン南蛮」が好評なのはタルタルの量だけではない。小麦粉を薄く付けた鶏もも肉を全卵の溶き卵を絡めてから揚げることで口当たりを滑らかにしたり、中温の油でじっくり揚げることで肉汁を逃さずジューシーに仕上げる。

麦ご飯にタルタルをかける食べ方も評判に

もともと力のあるメニューがお客さんのリクエストにきめ細かく対応することで、看板メニューに躍進したといえるだろう。

●店舗情報
「でんでんでん」
所在地=東京都港区赤坂3-14-7 バルビゾン44 2階/開業=1997年/坪数・席数=15坪・17席/営業時間=11時30分~15時、17時30分~22時、土曜15時~22時/平均客単価=昼1200円、夜5000円/平均集客数=昼30人

◇外食レストラン新聞の2021年12月号の記事を転載しました。