「海里」は、「予定調和を壊すことが新鮮な提案となりお客さまの心に響く」という若林勇店主が作るオリジナルメニューが評判の店。その一つが「いぶりがっこポテトサラダ」だ。ポテトサラダといえば“付け合わせ”のイメージが強く、主役を張れるほどの華はない。それが盛り付け一つで、「えっ! これがポテサラ?」とお客さんの感動を呼ぶ一品に激変する。
 

まず、皿に盛られるのが一般的なポテトサラダをガラスの容器に閉じ込めた。グリーン野菜やミニトマトが添えられて、まるでフラワーアレンジメントの置き物のよう。これだけでも十分、意表を突くが、中にもやが…。仕掛けは薫製用のスモーカーで容器の中にスモークを注入したことにある。容器の蓋を開けると、薫製の香りが鼻孔をくすぐり、食欲を誘う。

いぶりがっこポテトサラダ 560円(税込み)

ポテトサラダには、大根を薫製乾燥させた漬物の「いぶりがっこ」が入っている。スモーカーと「薫製」つながりの心憎い趣向。「なるほど」と食べる人を合点させるところが、店主のワザありといえるだろう。

コンパクトな薫製器でガラス容器の中にスモークを満たし、蓋をして密閉する

●店舗情報
「海里(みさと)」
所在地=東京都北区赤羽1-41-16

◇外食レストラン新聞の2021年11月号の記事を転載しました。