「洋食膳海カレー TAKEUCHI 神保町本店」のカレーの魅力は、なんといっても「これでもかっ」といわんばかりの華やかな盛り付けだ。ハート形や動物形に型抜きされたニンジンがあちこちにちりばめられ、アチャール(インド風ピクルス)の上には食用花、さらにはプラスチック製の料理飾りも駆使する。

「カレーは味が異なるのにどれも見た目が同じに見えてしまうのがもったいない。お客さまに目でも楽しんで気分転換していただくためには、季節感など見た目が大事だと考えました」とオーナーシェフの竹内智さん。

用意する型抜きや料理飾りは40種類を超える。秋はトンボやモミジ、冬は雪の結晶やクリスマスツリー、春はサクラやチョウなどで飾り付けられる。型抜き材料に使う野菜はニンジンだが「サイズ1・ほどの型で抜くのは大変。とりわけウサギの耳やトンボの尻尾など細かいところは慎重に作業しないとすぐ形崩れしてしまう」と苦労を語る。組み合わせる野菜もビジュアル重視。赤や黄のパプリカ、紫キャベツをみじん切りして彩りを高めている。

海の二重奏 1000円(税込み) エビ、イカ、ホタテをメインとした海カレーと、ひき肉の代わりにミンチにしたエビ、イカ、タコを主材料としたキーマ風カレーの組み合わせ。ネーミングも優雅

取材時(8月30日)は感染拡大にともない、テイクアウト営業に切り替えていたが、彩りの工夫は変わりない。「蓋を開けたときに、少しでもほっこりしてもらいたい。閉塞感が続く今だからこそ食事の時間でリラックスしてもらいたい」と竹内さんは気持ちのこもった商品づくりを続けている。

●店舗情報
「洋食膳海カレー TAKEUCHI 神保町本店」
所在地=東京都千代田区神保町1-20-3 1階

◇外食レストラン新聞の2021年10月号の記事を転載しました。