「鶴まる迎賓館」では、お通しの常識を超越した、スマホでパシャパシャ必須という秀逸なお通しを用意している。同店で来店客にまず初めに出されるのは、鮮魚の刺身5種類を各1枚ずつ盛り合わせたお通しだが、その提供法が何とも“未来的”。特注の器に刺身を盛り付け、筒部分の下部に仕掛けたドライアイスに水をかけ、スモークが噴き出した状態で運ばれる。

長井漁港から毎日仕入れる鮮魚を使った海鮮料理が自慢、という店の特徴をアピールする狙いに加えて、「一番初めにお出しする料理ですから、やはり驚いて楽しんでいただきたくて考案しました」と、藤本拓満料理長は話す。

「おーーー!」と歓声が上がるスモーク演出

ドライアイスのスモーク演出の魅力に目を奪われるが、新鮮そのものの刺身5種類を1枚ずつ並べ、300円という破格値で出す、というお通しとしてのクオリティーの高さもあっぱれだ。

スモーク演出は2名以上のテーブル席限定のサービスだが、スモーク演出がないカウンターの一人客からも評判が高く、このお通しだけでちょい飲みするのを楽しみに通う一人客も多いという。「お通しだけで2杯飲んでも1000円程度ですから」と、藤原薫店長は笑顔で語る。

料理写真だけでなく、運ばれてきた料理の様子を動画で撮り、SNSにアップする習慣も最近、一般化しつつある。居酒屋のお通しは今後、クオリティーの高さを前提に、「驚きと動きのある一皿」がトレンドになりそうだ。

●店舗情報
「鶴まる迎賓館」
横浜市鶴見区鶴見中央4-22-6

◇外食レストラン新聞の2021年7月5日号の記事を転載しました。