サントリー食品インターナショナルが展開する「サントリー烏龍茶」が好調だ。発売35周年を迎えるロングセラーブランドだが、5月に中身もパッケージデザインも一新し、新たに投入したところ、発売月の単月ベースで前年比22%増と好調な初動となった。「烏龍茶」本来のコクはそのままに、後味をよりすっきりとした味わいへの進化や、新型ボトルを採用したスタイリッシュなデザインなど“現代の烏龍茶”へと大幅なイメージの刷新が奏功している。

今回のリニューアルの最大のポイントは「中身」の進化だ。烏龍茶からの離反理由は後味の苦み・渋みだという。ただ一方で、烏龍茶のヘビーユーザーの飲用理由は“味の濃さ”が大きいことから、この味わいの設計バランスに苦心したという。

多田誠司ジャパン事業本部ブランド開発第一事業部課長は「烏龍茶の価値の“味の濃さ”を残しつつ“後味の苦み・渋み”を取り除き“スッキリとした後味”が楽しめる、コク・キレ・スッキリを目指した味わい設計に成功したことが、今回最大のリニューアルポイントになる。新たな味わいを体験したユーザーのリピート率が高いことから、この思い切った味わい設計が奏功したと胸をなでおろしている。引き続き、まずは、この新たな味わいを体験してもらうべく、トライアルを高め、リピーターの定着を図っていきたい」と意気込みを語る。

加えて、同ブランドをスタイリッシュかつ先進的なイメージに変えるべく、インパクトのある茶色のキャップ(大容量PETは白)とスタイリッシュな新型ボトルを採用した。ラベルはオフホワイトを基調とし、ロゴを大きく配することで、訴求ポイントを明確にシンプルなデザインを施している。

同ブランドのイメージキャラクターとして登用するモデルのミランダ・カーの魅力もあいまって、メーンユーザーの40~50代の男性が増加するとともに、若い女性ユーザーの獲得にも成功している。特に、手軽なダイエット飲料として、女子高生の飲用が増加するなど、新たなユーザー獲得の動きも顕著だ。家庭での大容量サイズ飲用からの拡大や飲食店での飲用体験に重きを置き、業務用の専用商品も投入している。

また「サントリー烏龍茶」の愛飲者のプロ野球・広島東洋カープの菊池涼介選手を「サントリー烏龍茶アンバサダー」とし、同選手の走・攻・守のオリジナルイラストラベルの「菊池涼介ボトル」を中国・四国エリアで数量限定で発売するなど、新生「烏龍茶」のトライアルを図り、リピーターの獲得につなげ、烏龍茶市場の活性化や鮮度を高め、さらなる成長・拡大に注力していく。

◇日本食糧新聞の2017年6月26日号の記事を転載しました。