札幌在住のたべぷろ編集部員・吉田匡和です。北海道特有の鶏料理といって、真っ先に頭に浮かぶのが「ザンギ」です。ザンギとは、鶏肉に衣をつけて油で揚げた料理です。「それってから揚げじゃない?」と思われた方は大正解。「味付けが違う」とか「作り方が違う」という人もいますが、ザンギはまぎれもなくから揚げです。そのルーツと食べ方に迫ります。

ザンギの由来

ザンギとから揚げの違い。それは21世紀になっても解明されない北海道の謎なのです。ザンギは、釧路市にある「鳥松」というお店が発祥だそうで、中国語で鶏のから揚げを意味する「ザージー(炸鶏)」に運がつくように「ザー運ジー(ザンギ)」となったのだとか。現存するお店の主人が、そういうのなら受け入れるしかありません!

全道に広がるソウルフード?

今やザンギは北海道のソウルフード、居酒屋のメニューはもちろん、スーパーの総菜コーナーでも買うことができます。不思議と家庭では「今日のおかずは、から揚げだよ」ということはあっても、「今日のおかずは、ザンギだよ」という会話は聞いたことがありません。

おかずになるのが「から揚げ」で、ビールのつまみになるのが「ザンギ」、またはから揚げが津軽海峡を渡った時点で「ザンギと呼ばれる」など、ゆるーく考えてください。

ベーシックなザンギ

こちらがプレーンなザンギです。小麦粉と片栗粉、タマゴを使って下味は濃すぎず薄すぎず。まさにどこから見ても普通の「から揚げ」です。そのまま食べてもいいですし、レモンをかけてもOK。万人向きなおいしさです。

王道のザンギ

ザンギとから揚げを明確に分けたい人は、「味が濃いのがザンギ」だといいます。こちらは下味にニンニクと生姜を加えて、濃厚な味に仕上がっています。こちらの方が色目も濃く、ビールのつまみとしても合いそうです。まさに一般的にイメージする「ザンギ」ですね。

ちなみに北海道では鶏肉以外にも、タコなどの海鮮を使ったザンギがあります。この場合は、「タコのから揚げ」というより「タコのザンギ」と呼んだ方がシックリくるのは何故でしょう?

釧路ザンギ

ザンギ「鳥松発祥説」を裏付ける理由として、ザンギに、おろし酢醤油をかけて食べる「釧路ザンギ」なるご当地料理があります。カリッとした食感ではなく、フワッとした食感で、鶏肉の柔らかさと上手くマッチした美味しいザンギで、タレをかけることから「ザンタレ」と呼ばれています。

ザンギからの派生と思われがちですが、実はザンギの発祥といわれる釧路の鳥松では、最初からザンタレを提供していたそうです。もしかしたら、ザンタレこそが、本来のザンギの姿なのかも知れませんね。

タレの作り方は簡単なので、ホームページなどを見ながら作って、ご家庭でから揚げをザンタレに変身させてみてはいかがでしょうか?