日本食糧新聞社は毎春、漬物に関する消費者アンケートを実施し、その消費動向と意識変化を調査している。今回もネット調査会社(かんでんCSフォーラム)の協力を得て、首都圏・中部圏・近畿圏の主婦計300人、20~70代の幅広い年代を対象に調査を実施。49歳以下と50歳以上、または地域別の回答数に偏りが出ないよう、なるべく平均的に回答を集めた。
結果を見ると、昨年調査と比べて大きな変化は見られず、添加物などの安全性に関する意識は引き続き敏感だが、産地へのこだわり、海外産原料(輸入製品)に対する不信感は若干薄れてきたようだ。

ダイエットや猛暑で梅干し需要が増大

よく購入する漬物(Q1)

昨年まで9年連続トップだった「キムチ」が首位陥落。「梅干し」が7割の票を集めてトップに躍り出た。昨年は梅干しダイエットや猛暑で梅干し需要が増大し、販売は好調だった。
「浅漬」「たくあん」は毎年2~4位を争い、「福神漬」の人気も根強い。「ラッキョウ」「野沢菜漬」「しば漬」の3つがその後に続く傾向に変わりはない。

選ぶ基準(Q2)

7割以上の人が「家族の好み」を優先し、次に「安全性」「価格が安い」が重視される。これは毎年同じ傾向。やはり嗜好が合い、安心感を持てて、かつ買いやすい価格の商品が好まれる。「体に良さそう」は毎年安定した回答数を得ている。

最も気にする表示(Q3)

今年も「賞味期限」との回答がもっとも多かった。漬物は賞味期限が短く、購入時に気にする消費者は多い。また、ほかの食品と比べて加工度が低いことから、添加物や原料原産地を気にする消費者も少なくない。Q8・Q9の回答でも、添加物と産地に関する要望が毎回多く見られる。

漬物についての情報(健康効果など)をどこから得るか(Q4)

情報を得る機会が少ない漬物の場合、パッケージで確認する人は毎年半数以上を占める。気にしない人も2割以上と少なくない。媒体で情報を得る機会が少ないからなのか、TVやネットよりも売場の店員や知人に直接聞く人のほうが多い。

原料原産地表示を確認して購入しているか(Q5)

すべての漬物に原料の原産地表示が義務付けられてから10年以上が経つ。今年も「はい」と回答した人は7割を占めるが、地域別で見ると首都圏がもっとも多く、中部圏で少なかった。

海外産原料、輸入製品をよく購入するか(Q6・Q7)

両設問ともに「主に国産(国内製品)を買う」と回答した人が約6割を占める。気にしない人、安さを重視して海外産(輸入製品)を選ぶ人も少なくない。今年は品質を理由に海外産(輸入製品)を購入する人が1割弱と昨年より増えた。
国産(国内製品)を支持する理由の多くが安全性。ほぼすべてが海外産(海外原料)に対する不安の声で、中国産(中国製品)を名指しして危険視する回答も少なくない。

漬物についての要望、意見(Q8)

今年も「塩分を少なく」「添加物、着色料を少なく」との要望が圧倒的に多い。近年増加しているのが「少量パック」「小分けの食べきりサイズ」を求める意見で、賞味期限が短い漬物の場合、味や価格ではなく、内容量で敬遠されるケースもある。

食品表示についての要望、意見(Q9)

今年も産地や塩分、添加物のより詳細な表示を要望する意見が多くを占めた。大きくて分かりやすい表示はもちろん、原料産地と加工地の併記を願う声も目立った。

 

<アンケート設問>

Q1 あなたは今までに漬物を購入したことがありますか。購入したことがある場合は、よく購入する漬物をお選びください(5つまで複数回答可)

Q2 漬物を購入する時、どのような基準で選びますか(3つまで複数回答可)

Q3 あなたが漬物を購入する時に最も気にする表示はどれですか(1つだけに○)

Q4 あなたは漬物についての情報(健康効果など)を主にどこから得ますか(1つだけに○)

Q5 漬物には原料の原産地が表示されています。その表示を確認してから購入していますか(1つだけに○)

Q6 あなたは海外産原料を使い、国内で製品化した漬物をよく購入していますか(1つだけに○)

Q7 海外産原料を使い、海外で製品化した漬物も多くあります。輸入製品をよく購入していますか(1つだけに○)
Q8 漬物について要望や意見などがあればお書きください

Q9 食品の表示についてご意見があればお書きください

◇日本食糧新聞の2017年6月22日号「漬物特集」の記事を一部転載しました。