焼き鳥業態は好調が続いており、どの町に行っても焼き鳥店を必ず目にします。しかし、これほど多くの焼き鳥店がありながら、焼き鳥というとタレ焼きと塩焼き以外はあまり見かけません。アレンジも、ゆずこしょうや辛味噌、梅肉ダレを付けるぐらいでしょうか。もう少し、味付けの進化形があってもいいのではと、かねてから思っていたところでした。

そんな折、ある中華バルで目にした鶏肉料理に驚かされました。タレにドボンと漬けて食べる鶏肉串です。この発想を参考に、たっぷりの辛味タレに絡める、新しい焼き鳥スタイルを考案しました。

玉ネギ、ニンニク、ショウガをそれぞれみじん切りにし、白ごま、輪切り唐辛子とともに麻辣油で炒め、花山椒、鶏がらスープ、醸造酢を加えてタレを作ります。このタレを深さのある器に入れ、味付けなしでシンプルに焼いた焼き鳥に添えて提供。熱々のタレに焼き鳥をドボンと浸して、いただきます。

タレにドブンと突っ込んで食べる焼き鳥のスタイルは新鮮!

辛味と酸味がマッチしたアジア風の味付けが焼き鳥によく絡み、定番の焼き鳥とは違ったおいしさです。タレに加える薬味を具だくさんにし、焼き鳥にまとわせると、薬味の食感と風味が鶏肉の味をさらに引き立ててくれます。

タレにドボンと漬ける食べ方自体も楽しい。焼き鳥だけでなく、つくねや豚ばら巻き串、野菜串、海鮮串などさまざまな串焼きに合わせ、タレの味付けも変えれば、多彩なメニュー展開ができますね。(飲食店プロデューサー 青島邦彰)

◇外食レストラン新聞の2019年4月1日号の記事を転載しました。