中欧ハンガリー・ブダペスト在住のフードライター・旅野きっこです。ヨーロッパに位置しながら祖先をアジア人に持つこの国のグルメは実は日本人の口に合い、馴染みやすいものです。今回はそんなハンガリー料理の中でも代表的な「パプリカチキン」をご紹介します。

ハンガリー料理に欠かせないのは「パプリカ」

ハンガリー料理に絶対欠かせないもの、それは色とりどりで大小さまざまな形のパプリカです。辛味の凄いもの、サラダ用、煮込みに使うもの、そしてまた生の固形のものからペースト状のものや乾燥させたもの、パウダー状のものなど料理によって使い分けられています。

日本でよく見ることのできるパプリカは生の赤・黄色のものですね。ですがもう一つだいたいのスーパーで手に入るパプリカといえばパウダー状のものです。そしてこのパプリカパウダーが一番の必需品といっていいほど、さまざまなハンガリー料理に多用されています。

日本でよく見かけるのはハンガリーで売られているものよりかなり少量ではありますが、今回ご紹介する「パプリカチキン」にも絶対必須の品なのです。

「パプリカチキン」のおいしい作り方

おもてなしやちょっと豪華な夕食にもぴったりな「パプリカチキン」は煮込み料理なので、時間はそれなりにかかりますが工程は少なく、初めてでも失敗いらず!

<材料>

鶏もも肉 800g程
玉ねぎ 大2個
ニンニク 2カケ
トマト 中〜大5個
赤パプリカ 2個
パプリカパウダー カレースプーン山盛り6
サラダ油 多め

<作り方>

1.みじん切りにしたニンニク・玉ねぎ(粗みじんでよい)を大鍋の底1cmほどひいたサラダ油でしんなりするまで炒めます。

2.適当な大きさの鶏もも肉(骨付きでもよい)を加え適度に炒めます(肉の外側の色がちょっと変わるくらいでよい)。

3.火を止め(焦げないためのポイント!)パプリカパウダーを入れしっかりと馴染ませるように混ぜます。

4.混ざったら火にかけ、30秒ほどたったら材料が浸るくらいの水、トマト丸ごと、半分に切って種を除いたパプリカをダイナミックに入れて煮込み開始です。

5.沸騰してきたらアクを取りつつトマトの皮を取り除きます(湯むき状態でするっと剥けます)。蓋をして水分がかなり減るまで時々混ぜながら煮込みます。また、だいぶ火が通って剥きやすくなったパプリカの薄皮も剥がすとより滑らかな仕上がりに。

6.もも肉がホロホロになり水分も減ったら最後にお好みの量の塩で味を整えます。
調味料は最後の塩のみです。

シンプルな素材で甘みあるメインディッシュ

さてこの「パプリカチキン」、ハンガリーで最もセットで食されるのは「ダンプリング」と呼ばれるすいとんのようなパスタのようなものです。これは小麦粉と水で練ったものを小マカロニほどの大きさにして茹でたもの。プレートにダンプリングをたっぷりと盛り、出来上がったチキンをどーんとのせ、仕上げにサワークリームをのせ、絡めて食するのです。

ですがもちろんパンや各種パスタ、バターライスなどといただくのも大変おすすめ。また先に挙げたレシピはかなり量がありますので、あまった分は小分けにして冷凍しておけば、いつでもおいしいパプリカチキンが楽しめます。

この「パプリカチキン」のおすすめな点は海外感たっぷりで未知なテイストが楽しめるのに、それほど珍しいスパイスなどの材料を揃える必要がないこと、トマト丸ごとやパプリカパウダーを大量に使って作るのも楽しいところ、また先に挙げたように調味料は塩のみなのに、甘くてくどくなく、優しい味で食べやすいことです。特に塩はかなり少量でもおいしいです。ぜひ一度ご賞味あれ。