「料理が好きだったはずなのに、晩ごはん作りが苦痛…」という悩みを抱える、2児のママであるマンガイラストレーター・フクチマミさんが綴るコミックエッセイ「晩ごはん症候群(シンドローム)」。
フクチマミさん自身が、同じ悩みを抱える主婦&主夫や、家庭料理のプロである料理研究家の上田淳子さんを取材、晩ごはん作りが苦痛でなくなる解決策を探ったそうです。

めんどくさい、作りたくない、だって食べないじゃん…

料理するのが好きだったはずのフクチさんが、ある日ぽろっと口にしたのが「もう晩ごはんのこと考えるの疲れた」というひとこと。

主婦だったら、チャチャッと作れて当たり前。と思われることも多い「晩ごはん作り」。しかし実際は「作る」だけでなくその前後の「準備」と「あと片づけ」の労力もある大仕事です。

「たとえば1日3食家族のごはんを作る日、なんだか1日じゅうごはん作りのために動いてるみたいな気がしてゲンナリしちゃう……」というフクチさんを始め、「晩ごはん症候群(シンドローム)」では、晩ごはん作りに悩む人が多数登場します。

「献立が決まらない…」「夫から『またコレ?』」って言われるのがつらい…」「家族が『おいしい』って言わない』など晩ごはん作りへの悩みはさまざま。本書でのフクチさんの取材では、晩ごはん症候群(シンドローム)にかかる人が数多くいることがわかりました。

料理の理屈を知れば、晩ごはん作りが苦痛じゃなくなる!?

本書で晩ごはん症候群にかかっているとされているのは、苦痛を感じながらも毎日料理をしている主婦&主夫たち。つまり、料理ができない訳ではありません。

しかし、プロや料理じょうずな人が知っている「おいしく作るための基本や常識」を把握している人は少ないはず。

フクチさんは「晩ごはん症候群(シンドローム)」の取材で、NHK『あさイチ』『きょうの料理』でたくさんの悩みを解決してきた料理研究家の上田淳子先生から「おいしい晩ごはん」のコツを学んでいきます。

ポークソテー、しっとりジューシーに焼けていますか?

上田先生が本書で教えてくれたのは、多くの人が晩ごはんメニューとして作っているような定番メニューに使えるテクニックです。

例えばポークソテー。ただ焼けばいいのでは、と思われがちですが、しっとりジューシーに焼けていますか?フクチさんも、肉がかたくなったりパサついた仕上がりになることに悩んでいたと言います。

上田先生によると、肉をおいしく焼くときのポイントは下味と火加減だそうです。下味をつけるなんて、最後に味付けをするのに二度手間じゃない?と思う方もいるかもしれませんが、表面だけ味がついていても美味しくないもの。中までしみ込ませるのが下味。これで噛んだ時のうまみがぐっとアップしていくそうです。

おいしいポークソテーは表面はカリッ、中はジューシーな仕上がり。焼き上がりを食べてみると、かたくなったりパサついたりしていませんか?それは「しっかり焼かないとおなか壊すから…」なんて焼きすぎてしまっているのが原因かもしれません。

肉は中心が75度で1分加熱できていればいいそう。厚み1.5cmの常温の肉で両面2分半ずつくらいが目安です。

 

「肉を焼く」以外に、「だしをとる」「煮物」「サラダ」「炊き込みごはん」「肉野菜◯◯」「ソース・あん」の作り方を、美味しくなる理屈とともに上田先生が丁寧に伝授。フクチさん独自のわかりやすい表現で、読むだけで料理のコツが身についていく内容となっています。

また本書に登場するレシピは、掲載されているQRコードから読めるWEB「暮らしニスタ」と連動しています。実際に料理するとき、スマホやタブレットでも再チェックできます。食卓はぐっとレベルアップし、家族が「おいしい」と言ってくれる。それだけで、晩ごはん作りの苦痛の改善につながります。

「時間がない」「子どもが食べない」「夫があれこれ言う」の処方箋も

ただ、こうした料理のコツがわかるだけでは、「晩ごはん作りが苦痛…」の気持ち、フクチさんは解消できませんでした。

そしてたくさんの「晩ごはんを作る人」を取材することによって、「晩ごはん症候群(シンドローム)」にかかるいくつもの理由がわかってきました。

「時間がないからかもしれない」「子どもが食べないからかもしれない」「夫があれこれ言うからかもしれない」「自分自身の『思い込み』のせいかもしれない」などその理由はさまざま。本書では、そんな「晩ごはん症候群(シンドローム)」の処方箋も網羅。

フクチさんが本書で最も伝えたいのが「晩ごはん作りが苦痛なのは、あなたのせいじゃない!怠けているからじゃないんだよ!」ということだそう。読むだけで、晩ごはん作りがラクになる一冊となっています。

「晩ごはん症候群(シンドローム)」
発売日:2017年5月12日
定価:1,300円税別

著者:フクチマミ
マンガイラストレーター。1980年神奈川県生まれ。金沢美術工芸大学卒業。デザイナーとしてデザイン事務所勤務を経てフリーのマンガイラストレーターに。雑誌や書籍、webでルポ・解説マンガを中心に活躍中。「わかりにくいことを、わかりやすく」説明する手法に定評がある。著書に『マンガで読む・妊娠出産の予習BOOK』(大和書房)、『マンガで読む育児のお悩み解決BOOK』(主婦の友社)、『マンガでおさらい中学英語』(KADOKAWA)などがある。

料理監修:上田淳子
料理研究家。NHK『きょうの料理』『あさイチ』などで活躍。『共働きごはん』(主婦の友社)ほか、著書多数。双子の男の子のママで、食育にも力を入れている。