肉業態の好調の波に乗り、新規開業する焼肉店が多い一方で、開店後まもなく消えていく店も少なくない。特に個人経営の焼肉店にとっては、宣伝なしで店を軌道に乗せるのは厳しいものがある。そんな中、SNSの宣伝力を活用してヒットメニューとなったのが、「ミスター焼肉」の「ぶ厚い3兄弟」だ。

直球勝負でインスタ映え

個人店の開業当初の知名度は、一般的には限りなくゼロに近い。「フラリと立ち寄ってくれるお客さん」を待っていては、たちまち経営難に陥る。自ら発信していくことが死活問題だが、お金をかけずに宣伝するとなれば、今の時代、SNSだ。

「大手チェーン店はともかくとして、焼肉店はWeb活用が意外と遅れています。焼肉店に限らず、新規開店した個人店が生き残っていくためには、SNSの活用は重要ですね」と語るのは渡邉和宏オーナー。

ぶ厚い3兄弟(w)4,980円(税抜き) 総重量約500g。4人で食べても十分の量だ

お客さんが発信したくなるメニューには、“インスタ映え”が必須。焼肉のインスタ映えといえば、肉をデコレーションケーキのように盛り付ける、刺身のような舟盛りにする、ドライアイスのスモークで演出するなどの手があるが、渡邉オーナーの発想は至ってシンプル。それは、肉を分厚く切ること。

他店にはない分厚さでカットして、皿に並べる。「これぞ!肉!」という直球勝負だ。そして見ての通り、武骨なまでのド迫力。

タン、ハラミ、ヒレの“3兄弟”

「ぶ厚い3兄弟」というネーミングもいい。子供番組でヒットしたあの曲がすぐに思い浮かび、一度聞いたら忘れない。

スタッフが焼いて、食べやすい大きさにカットしてくれる

“3兄弟”はタン、ハラミ、ヒレ。「この3部位が厚さを出してカットするには向いているので」とのこと。タンの厚さは約3cm、ヒレは約5cm、ハラミは約2cm。判形も大きく、一切れというより、一塊といったほうがピッタリくる。

「ぶ厚い3兄弟(w)」の肉の総重量は約500g。3種類の肉が一つずつ盛られた「同(s)」(2580円)は約250g。

狙い通り、注文したお客さんは写真を撮ってSNSにアップする。「分厚く切る」という単純明快なコンセプトはお客さんに伝わりやすく、集客をけん引するメニューになっている。

醤油ベースの自家製ダレ。フルーツたっぷり、刻んだネギと大根入り

●店舗情報
「ミスター焼肉」
所在地=東京都千代田区外神田5-2-13
開業=2017年9月
坪数・席数=20坪・34席
営業時間=月~金17時~23時、土・日・祝日11時30分~23時。無休
平均客単価=5000円(夜)
平均集客数=約40人(夜)

◇外食レストラン新聞の2018年12月3日号の記事を転載しました。