日本電気(NEC)とサンフランシスコ発「Bean to Bar」チョコレート専門店のダンデライオン・チョコレート・ジャパン(DCJ)は10月25日、社会を反映する新聞記事からその時代のムードをチョコレートで再現した「あの頃はCHOCOLATE」=写真=を開発した、と発表した。

NECのAI(人工知能)技術とDCJのチョコ製造技術を活用した。NECが、AIによる味覚予測シリーズとして、17年に名作文学の読後感をAIで分析しコーヒーの味わいで再現したブレンドコーヒー「飲める文庫」に続く第2弾。

日本経済新聞の過去約60年の朝刊1面記事のうち、印象的な出来事のあった五つの年をピックアップし、各1年分の新聞記事をAIで分析。分析結果を表した七つの味覚指標をもとに各時代のムードをチョコレートで再現した。

開発プロセスは、NECのデータサイエンティストが、新聞1面記事のテキストデータから、代表的な頻出単語約600語に対し、甘味、苦味、酸味、ナッツ感、フローラル、フルーティー、スパイシーの七つの味覚指標を付与した学習データを作成。

NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」を活用した「NEC Advanced Analytics Platform with 異種混合学習」に、学習データおよび大量のテキストデータから構築した単語の意味情報を投入し約60年分の新聞記事記載の単語の味をAIが推定する。

推定された全単語の味を用いて年ごとの記事を分析し、その年のムードを表す味覚指標のレーダーチャートを作成し、60個のレーダーチャートから印象的な年として五つの年を選出する。作成されたレーダーチャートをレシピとして、DCJが5種のチョコレートを開発する。

今回開発した商品は、「あの頃はCHOCOLATE〈1969 人類初の月面着陸味〉」〈1974 オイルショックの混迷味〉〈1987 魅惑のバブル絶頂味〉〈1991 絶望のバブル崩壊味〉〈2017 イノベーションの夜明け味〉の5種類。10月25日からDCJオンラインストアで予約受け付けを開始した。価格は単品が1620円。5種アソートが3240円(税込み)。

◇日本食糧新聞2018年10月31日号の記事を転載しました。