北海道在住・料理好きライターの藤奈子です。今回は北海道ならではの「鮭とば」のおいしい食べ方をご紹介します。
北海道の名産品の鮭とばは贈答品として、全国的にも人気があります。お酒をたしなむお相手なら、鮭とばを選べば間違いないと思っている北海道在住者もいるほど。ですが、鮭とばをそのままかじったり、あぶったりするくらいしか食べ方を知らないなんてことも珍しくありません。

北海道名産「鮭とば」とは

北海道の秋の味覚・秋鮭はお盆のころに店頭に並ぶようになります。この秋鮭を半身にして、さらに海水で洗ってから、潮風にさらして干した保存食が鮭とばです。東北からの移民によって北海道に定着したとも。アイヌ語で鮭の乾物を意味するトゥパが語源ともいわれています。

販売されている鮭とばにもさまざまなタイプがあります。やはり、扱いやすいのはスライス。スライスされていないと、カットしなければなりません。

鮭とばでハラスと書かれているものも。ハラスとはお腹の部分のことで、脂がのっていておすすめです。

北海道のお母さんが教えてくれた「鮭とばの酒浸し」

北海道から東北エリアにかけて、乾物を日本酒に浸す食べ方があります。これを酒浸しといいます。もともとは東北の食べ方らしいですが、たくさんの東北移民たちによって、北海道ならではの食材が活用されるようになったそう。さっそく、北海道のお母さんが教えてくれた、鮭とばの酒浸しを作ってみます。

今回は北海道の地酒を用意してみました。北海道の日本酒は淡麗辛口が特徴。東北地酒の特徴を引き継ぎながら、北海道の魚介類を引き立てる仕上がりです。

保存容器に鮭とばをならして、しっかりと浸かるほど注ぎ入れます。鮭とばはメーカーによっては一切れ一切れが大きいものもあります。大きすぎるならハサミで半分にカットしましょう。あとはフタをしめてなじませます。

鮭とばがやわらかくなったら食べごろ。環境にもよりますが、半日~1日あればできあがります。

食べ方はいたってシンプル。酒に浸したことでやわらかくなった鮭とばを、そのまま噛みしめるだけ。もちろん、皮の部分もいただけます。むしろ、皮ならではの味わいがあるのです。噛めば噛むほど、鮭とばに塩気と日本酒の甘さが感じられます。

北海道らしい鮭とばアレンジ!鮭とばのバターしょうゆチャーハン

鮭とばの食べ方は、おつまみにするだけではありません。料理にも活用することもできます。現在でこそおつまみのイメージですが、実際にアイヌの人たちも開拓者たちも、みんな毎日の料理に使っていたのです。

そんな北海道らしい鮭とばアレンジが、鮭とばのバター醤油チャーハン。北海道みそラーメンにバターが乗っているとおり、特産品であるバターはさまざまな料理に使われています。冷蔵庫に冷やごはんしかないときにも便利なメニューです。

作り方(1人分)

1.鮭とばを4切れほどダイス状に刻みます。鮭の皮もおいしいです。一緒に刻んでください。酒浸しにして残ったものでもかまいません。

2.長ネギを1/2本みじん切りにします。バターは10~15グラム程度、お好みで調整してください。

3.熱したフライパンでバターを溶かし、鮭とばとねぎを炒めます。ハラスだと脂身があるので、バターの量を調整してもいいかもしれません。

4.さっと火が通ったら、お茶碗1杯くらいの冷やごはんを入れましょう。具材がまんべんなく混ざったら、溶き卵を加えます。

5.卵に火が通ったところで、しょうゆ大さじ1/2、白だし小さじ1で味付けをして、全体がパラパラになったら完成です。さらにバターをトッピングするのもおすすめです。

鮭とばの保存方法は

鮭とばは北国の厳しい冬を乗り切るための貴重な保存食です。タンパク質とカルシウムを補給できるだけでなく、低糖質という健康的な食材でもあります。

保存食というほどですから、開封しなければ日持ちしますですが、開封したまま放置するとカビが生えてくることも。たくさんあるようなら、あらかじめ冷凍してしまうのがおすすめです。

ジッパーつきの密閉バッグに食べきれるだけの鮭とばを入れて、個別に冷凍保存します。スライスしたものはそのままでいいですが、一切れが大きいのなら冷凍前にカットしてしまってもいいかもしれません。

食べるときは、前日に冷凍庫から取り出して自然解凍させるだけです。