中欧ハンガリー・ブダペスト在住のフードライター・旅野きっこです。中欧料理に興味を持ち様々な近隣諸国に出かけてはご当地グルメを堪能する日々を送っています。今回ご紹介するのはビール大国・チェコのご当地グルメ、カマンベールチーズを使った「ナクラーダニーヘルメリーン」。何やら難しい名前ですがチェコの家庭やレストランでよく食されるこちらは一体どんなものなのでしょう。

チェコ料理「ナクラーダニーヘルメリーン」とは?

チェコと言えば何はともあれビール。世界で最もビール消費量が多い事で有名なこの国は街を歩けばビヤホールに行き当たります。コクのあるしっかりとしたテイストのチェコビールはノーマルな物も黒ビールも格別。

そんなビールに大変合い、ビヤホールなどでもよく食される「ナクラーダニーヘルメリーン」はカマンベールチーズをハーブやスパイスと共にオリーブオイルに漬けてマリネしたもので、作る人によってチーズを切り分ける場合もありますが多くは丸ごとのカマンベールのダイナミックな姿で供されるのです。

「オイル漬けのカマンベール…?それってくどくないの?」という声が聞こえてきそうですが不思議なほどそんな印象はありません。ビールを飲み、スパイスの香り豊かなチーズを食べ…とやっていると相乗効果でどちらも進んでしまいます。

家庭でも簡単に真似できる!?スパイスとハーブで旨味倍増

この「ナクラーダニーヘルメリーン」はカマンベールチーズの表面と平行に横にナイフを入れ、そこにパプリカパウダーで和えた玉ねぎをニンニクの薄切りと共に挟む事でオイルの強さが中和され、スッキリと食べやすくなります。

密閉できる容器に、その玉ねぎのパプリカ和えを挟んだカマンベールチーズをいくつか重ね、辛味成分のあるトウガラシ数本、ジュニパーベリー10粒ほど、ローリエを散らしてオリーブオイルを注ぎ入れ、蓋をしっかりと閉めて数日置きます。

冷蔵庫で寝かせる事5日ほどからハーブやスパイスがしっかりと馴染み、玉ねぎは甘みを持ち、全体的にしっかりと旨味のバランスが溶け合ってちょうど良い食べ頃になります。写真ではヨーロッパでよく見られるディル(香草の一種)を合わせてマリネしてありますが、こちらはお好みでどうぞ。

ビールだけでなくワインにもよく合う「ナクラーダニーヘルメリーン」

この「ナクラーダニーヘルメリーン」、やはりチーズなだけあって、もちろんビールのみならずワインにも大変よく合います。チェコビールの特徴としてやはり他国のものより深いコクを持つ事があげられますが、それに通ずる濃厚な赤ワインなどといただいても、やはり素晴らしい相乗効果が産まれます。

日本で過ごす日常生活それほど関わることのないチェコ料理。しかし、馴染みがなくとも知るとやみつきになる美味しさは世界の様々な場所に存在し、その地で暮らす人々に広く愛されています。中欧の小国・チェコの「ナクラーダニーヘルメリーン」もその一つ。知っておいて損のないこの料理、ぜひ一度お試し頂き、その味わいを存分に経験してみてください。