ハチミツ入りのつゆで食べる「五色そうめん」
愛媛県松山市在住のたべぷろ編集部員・藤田竜一です。生まれてこの方20年以上を愛媛で過ごし、現在は松山に移り住んで10年。愛媛の中でも繁華街のある松山でさまざまなものを食し、愛媛ならではの食べ物にもふれてきました。今回は毎月11日の「めんの日」にちなみ、愛媛発祥と言われる「五色そうめん」のルーツや食べ方についてご紹介しましょう。
愛媛の「五色そうめん」のルーツは
今では全国に広がっている五色そうめん。緑や黄色、ピンクなど鮮やかな色付きのそうめんは数多く存在していますが、その元祖は愛媛県にあると言われています。今でも愛媛には五色そうめんの創業した会社である「五色そうめん株式会社森川」が残っており、販売も継続して行われているのです。
五色そうめんの歴史は、江戸初期までさかのぼります。長門屋は八代目市左衛門が経営していました。彼の娘が松山市にある椿神社に参詣に訪れた際、彼女の下駄に美しい五色の糸が絡みつきました。その糸を見た娘が、父親である市左衛門に「5つの色が付いたそうめんを作ってはどうか」と提案します。そのことを発端として、愛媛で五色そうめんが生まれました。
苦心の末に生まれた五色そうめんですが、愛媛内でも評判を呼ぶそうめんとなって瞬く間に名前が知られることに。藩主が参勤交代の際に将軍へ献上した記録や、朝廷にも納められたと言われています。その際に「唐糸のように美しい」というお言葉をいただいたということです。
甘めのつゆに付けて食べる文化があります
愛媛県は他の地域に比べると甘めの味付けとなっているのが特徴となっています。全国一の生産を誇る麦を使った麦味噌や、砂糖を大量に入れた魚の煮付けなどが出てきます。そうめんに関しても甘めに食すことがあり、茹でた麵を甘めのつゆに付けて食べる文化があるのです。
南予(なんよ)地方では流しそうめんを専門に行っている「安森洞」などがありますが、こちらだけでなく一般家庭においても甘めのつゆにて食します。つゆにはハチミツが入っているのが特徴。食べるまでは想像もつかない味付け。食べてみるとほんのりと甘いハチミツの味が漂い、喉越しのいい味となっています。ハチミツ入りのめんつゆは、南予地方ではスーパーなどで普通に販売しています。
南予で取れる魚と一緒に食べることもあります
南予地方では甘めの味付けだけでなく、魚も大量に取れる地域として知られています。そのため、そうめんにまで魚の身をほぐして食べる家もあるようです。煮魚よりも焼き魚の身を一緒に食べることが多く、淡白になりがちなそうめんのアクセントとなります。
また、松山や宇和島では鯛一匹をそうめんの上に飾る文化があり、郷土料理としてふるまう料理店も存在しています。そうめんと鯛でお腹いっぱいになること間違いナシの料理で、そうめんは取りやすいようにくるくるとまとめられているのが特徴です。鯛とそうめんを一緒に食べる際も、めんつゆは甘めの味付けになっています。
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