九州から世界中に健康な笑顔を増やす! 管理栄養士の大山加奈惠です。
栄養士の仕事はとても幅広く、離乳食から介護食まで、各年代の方の健康をサポートするお仕事を日々しています。その中でも、最近注目されているのが、スポーツ栄養。中学生や高校生スポーツ選手のパフォーマンスアップの食事についてのセミナーや献立作成を依頼されることが増えました。
そのスポーツの栄養のお仕事の一つで、武田コンシューマーヘルスケアさんが作成したタケダ「栄養教育」プログラムで、スポーツ栄養の話を監修させていただきました。今回はその内容から抜粋してスポーツ栄養の食事について、ご紹介します。

試合で結果を出すには、食事が基本。パフォーマンスアップのスポーツ栄養

武田コンシューマーヘルスケアさんでは、人々の健康に貢献するヘルスケア企業として、子どもたちが自ら健康について考え、健康を作る姿勢や意欲を育てるために、教育支援活動を行っています。

私が監修をお手伝いしたのは、『“元気のモト”を一緒に探そう!パフォーマンスアップを目指して』をテーマにした授業のテキストです。

中学生・高校生が食事や栄養素がスポーツのパフォーマンスに影響を与えることを知り、栄養素の働きを学んで、自分でパフォーマンスアップのための食事を考えることができるように授業のプログラムが組み立てられています。

武田コンシューマーヘルスケアのティーチャーズガイド

導入質問は、『私たちは何のために食べるのだろう?』。

朝食を抜いた時のパフォーマンスはどうなるか?
栄養バランスを考えずに、好きなものばかりを食べていたらどうなるか?

生徒の実体験を発表させたり、悪い例を説明しながら、生徒自身の食への意識を振り返らせて、興味をもたせます。

特に中学生は部活をやっている子が多いので、間違った食事をしていると、スポーツで結果を出すこともできないことや、エネルギー不足による貧血や水分不足による夏バテが起きることもしっかり伝えないといけないのです。

朝寝坊で朝食抜き、女子スポーツ選手の無理なダイエットは、健康を害してしまうことを、スポーツを切り口に話していくと、生徒たちも興味を持ってくれます。

今後は私たち管理栄養士、家庭科教師も正しい食事を伝えるために、いろいろな角度の切り口を持つ必要があります。

大リーグ大谷選手は、自炊している!結果を出すには食事にこだわれ

食育の授業をしていると、どこでも出てくるのが、五大栄養素の役割、栄養素の基本です。それぞれの栄養素の働きを説明していきますが、ここで伝えるポイントは、食べ物には3つの働きがあるということ。

<1>おもにエネルギーになる(炭水化物、脂質、たんぱく質)
<2>おもに体の組織を作る(たんぱく質、無機質)
<3>おもに体の調子と整える(無機質、ビタミン)

3つの働きが私たちの体には必要で、5つの栄養素の働きはそれぞれ違う。だから、その5つの栄養素を含んだ色々な食品を食べることが重要だということをしっかり認識させることがとても大切です。

栄養素の動き(武田コンシューマーヘルスケアのティーチャーズガイドより)

活躍しているスポーツ選手は日頃から食事に気をつけています。アメリカの大リーグで活躍している大谷選手も、渡米する前にスポーツ栄養に詳しい栄養士から自炊出来るメニューをたくさん習い、アメリカで自分が食べる料理を作っていると、テレビで特集が放送されていました。

結果を出しているアスリートたちはみんな、食事が最高のパフォーマンスを生み出すことを知っているのですね!

組み合わせがポイント。目的に合わせたパフォーマンスアップの黄金メニュー

では献立作成の実践編です。二つの事例をあげましょう。
どちらも中学生のスポーツ選手ですが、目的が違うと選びたいメニューも変わってきます。

筋肉をつけて瞬発力を高めたいサッカー部のマサルくん

マサルくんの目的は、「筋肉をつける」

  • 筋肉をつけるためには筋肉のもと、たんぱく質が最も必要になります。
  • そして、たんぱく質にはパワーやスタミナをつけて、瞬発力を高める効果もあります。
  • サッカーは激しく動いたり、他の選手とぶつかったりするので、怪我が多く、疲労がたまりやすい競技です。そこで、必要となるのは、「ビタミンC」です。
  • 「ビタミンC」は、関節を強くしたり、骨格をサポートするためのコラーゲンを作る働きがあります。

マサルくんが摂りたい栄養素は、ずばり「たんぱく質+ビタミンC」。

マサルくんにオススメの献立は、たんぱく質がたっぷり含まれたカツ丼+ビタミンC補給にキャベツのサラダです。

たんぱく質たっぷりの筋肉をつけるのはカツ丼

持久力をつけて、マラソンでタイムを伸ばしたい陸上部のミクさん

ミクさんの目的は、「バテない身体を作り、持久力をつける」

  • 体のエネルギーの源、「糖質」がミクさんには一番必要です。
  • さらに、筋肉など全身に酸素を運ぶために血液中のヘモグロビンを増やすと、持久力アップに繋がります。「鉄」はヘモグロビンを作る栄養素です。
  • 糖質をエネルギーに変えるには、ビタミンB群が必要です。効率よくエネルギーを作り、体の代謝を上げてくれます。

ミクさんが摂りたい栄養素は、ずばり「糖質+鉄+ビタミンB群」。

ミクさんにオススメの献立は、糖質と鉄分を摂れるあさりのクリームスパゲティ+鉄分とビタミンB群を含んだ小松菜ときのこのソテーです。

糖質+鉄+ビタミンB群の持久力をつける黄金献立

スポーツ栄養は特別なことでなく、部活をしている中学生や高校生には必要な知識です。

この時期にしっかりバランスの良い食事を食べておかないと、体を壊したり、生活習慣病予備軍にも繋がります。ご家庭でも、部活やスポーツを切り口に、お子さんと正しい食生活のお話をしてくださいね!